第3章 20センチ 【時透 無一郎】
上弦の鬼を斬った後、刀の手入れをやり直してもらっていたので
それを口実に再び刀鍛冶の里に行く許可をお館様にもらった
「なんだか無一郎は雰囲気が変わったね記憶が戻った事の他に何かあったのかな?」
お館様はなんでも分かるのかな?
三咲の事はもう一度会って確認してから話そうと思ったし、その為に行くみたいなものだから気恥ずかしくで言えなかった
刀鍛冶の里に着いて 長に挨拶をすませたら、子鉄くんが玄関の前で待っていた
駆け寄ってきてペコリと頭をさげる
「里が新しくなったから僕は案内役です鉄穴森さんの所に行きましょう」
手を繋ぎ案内をしてくれる。繋いだ手の温もりにほわほわと心が揺れた
「子鉄くん色々とごめんね」
からくりを壊したり、里の人を下に見た発言やら色々細かい事は沢山ありすぎて何から謝ればいいのか分からない位だ
子鉄くんは足を止めて向かい合うと、今度は両手で僕の手を痛いくらい握りしめた
「からくりを壊した事や言われた事は絶対に忘れないし許さない!」
握りしめた手を離してプイッとそっぽを向かれた
「でも時透さんは命懸けで鬼と戦って勝ってくれた事も僕は忘れません……だから五分五分です仲直りです」
そう言ってまた子鉄くんは手を引いて歩き出した
炭治郎の「人助けは巡り巡って自分に返ってくる」の言葉が頭に浮かぶ
「ありがとう仲直りだね」
お面の下ではきっと笑顔の子鉄くんと笑いあった
表向きには刀を受け取りに行くだけだから泊まりの許可はでかなった
最後に三咲の所に案内してもらい、隠に迎えに来てもらう様に子鉄くんに伝言を頼んでお別れをした
「ごめんくださーい」
玄関で声をかけると奥から三咲の声がしてパタパタと足音が近づいてお面を着けた三咲が出てきた
「あまり時間がないから上がってもいい?」
「…どうぞ」
すこし戸惑っている見たいだったけど居間に案内してくれた
「柊が居ないのでお茶を用意してきますね」
「時間がないからお茶はいらないよ」
台所に行こうとする三咲を止めて隣に座った
「三咲の……お面を僕が外してもいい?」
そう言って三咲の耳に触れた
その瞬間触れる耳が赤く染まっていき熱くなる
「…はい」
三咲が少し俯いて返事をした