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かわいいひと

第3章 20センチ 【時透 無一郎】




「三咲さん!今日は御祈祷をされる日なんですよね」


私は手首と足首に金の鈴、金糸で編み上げた鉢巻を髪と一緒に結い上げ左耳の上から長く金糸を垂らし白の神楽の装束に身に着けていた


「小鉄くんに炭治郎くんどうしたの?」


声のする方を振り向くと長い金糸が揺れてキラキラと夕日に光った


今はお面を外し、炭治郎くんには初めて素顔をみせた…
素顔といっても神事をするので白粉をして目元と唇には紅をひいている

目が合うと炭治郎くんはポンっと赤くなった

「炭治郎さんが神楽を見たいと言ったので見学させて下さい」


聞けば炭治郎くんも神楽を舞うらしい


「いいよ、この神楽は見ている人の幸運を呼び込む舞だから、でも足は型をずっと踏み続けないとダメだし、御神体を振り回すから近づき過ぎないでね」






屋敷の裏にある祠には柊がすでに火を焚き日輪刀が並べていた

祠の奥にある神棚には一振りの刀が供えてある

「葛野家の本当の御神体です」

拝礼を済ませ刀を手に取り呼吸を整え鞘から取り出し上にかかげた


刀の色が変わった、色がというよりも紫水晶のような質感になる

目を見張る炭治郎くんに柊が「御神体があの様に変化するのが葛野家当主の証です」と静かに教える

「神楽の型は全部で8ッ、それを夜明けまで舞続けます」

柊が言い終わると、手首に着けた鈴が鳴り神楽の始まりをつげた








鈴が鳴り三咲さんから発する気が変わる
1つ1つ足が型を踏むたびに広がり柔らかだった祠の空気が三咲さんの元へ渦を巻き集まっていく様だった

8ッの型が終り刀を横に突きだし一回りする
三咲さんの元へ集まっていた空気が刀から吹きだしまた祠中に漂う

再び1の型を舞出すと又空気は渦を巻く
その渦が型を重ねるたびに研ぎ澄まされて行く様だった

それに合わせ三咲さんの気が人から神気に変化していく


柱の呼吸に似ていると思った



小鉄くんが袖を引き、もう帰りましょうと言ったので柊さんに頭を下げて、もう一度三咲さんを見た
目が合うと三咲さんは足をピタリと止めて柊さんを見る

柊さんはうなずき「炭治郎さんこちらへ」と、三咲さんを見上げる形になった

近くで見る三咲さんはとても綺麗だった


「炭治郎くんに我が葛野家の幸運を」と三咲さんは呟き額に口付けを落とした




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