第2章 また、会いにいきます 【富岡 義勇】
胡蝶が子供達を迎えにきて、御館様の屋敷に連れていくのを二人で手を振り見送る
深月は子供達を見送ると気が抜けて立てなくなり、仕方なく冨岡が背負い自分の屋敷に連れていった
胡蝶からは斬る時は自分の屋敷でしてくださいと言われていたからだ
深月を縁側に下ろす、深月が今日も月が綺麗だから外がいいと言われたからだった
「あの子達で百人だったんです」
深月は月を見上げ、庭に行き冨岡の正面に正座をした
日輪刀を静かに冨岡は抜いた
「私は養父が死ぬ前に不安になり、若いままだからこのまま死なないかもしれない
でもいつまで生き続けたらいいのかも分からなくて不安だと聞いたんです
そしたら養父は百人、人を幸せにしなさいそしたら答えが見つかるかもしれないよ
養父に言われたそれだけを心の支えに生きてきました
怪我をして血をすすってでも子供達の為に生きてきた
もう少しで百人だったけど何も変わらず答えも出なかった、とりあうず血を飲んでまで生きるのは止めようと怪我をしても我慢したんです」
「そんな時に冨岡さんに合いました、これが答えだったのかと思いました」
人を愛して愛されても歳を取らない私は一緒にはいれない、だから愛は全て子供に捧げた
だけど、無口で仏頂面な所が養父に似ている冨岡に始めは養父の面影を見ていた
それが次第に変わっていった、冨岡に手を握られた時は、わざと鬼斬りさんと呼んで溢れる思いを押さえつけた
最後に愛を思い出させてくれた人に斬られる…なんて幸せなんだろう
「もしも私が人として生まれ変われたら、私を探して下さい」
思わず気持ちがポロリと溢れる
冨岡は上段に構えた刀を止めて深く息を吸いこんだ
「俺も百人…それ以上の人を助けるそして必ず深月を見つけ、また逢いにいく…だから待っててくれ」
「…はい」
深月はそっと目を閉じる、冨岡は構えた刀を振り落とし首を切った
深月の体はポロポロと崩れ灰になっていった