第2章 また、会いにいきます 【富岡 義勇】
……ん、……さん、……み…さん
肩が揺れる…深く沈んだ意識から明るい光が広がる、ぼんやりと焦点の合わない瞳が揺れる
「冨岡さん!」耳元で炭治郎が声を張り上げるから耳の奥がキーンとなり顔をしかめた
深月の横で寝顔を眺めていたはずが、一晩中全力で走った疲れか
いつの間にか深月のベッドに顔を突っ伏して寝てしまっていた
炭治郎は無事子供達を連れてきたが、報告から戻ってきた胡蝶から
「風呂に入って清潔な服を着ないとダメです!」
と言われ三人は、まだ寝ている深月と冨岡の顔だけ見て、蝶屋敷のお風呂にみんなで入りました!とホコホコしながら報告された
三人も頑張って一晩中歩いたんで、風呂に入っておにぎりを食べて、もう一度深月と冨岡の顔を見たら安心して今は隣の部屋で寝ているらしい
「炭治郎なんであそこにいたんだ?」
「神隠しの調査です、鴉から伝令があったんで、そしたら冨岡さんがいたから驚きました」
視線を深月に移し又冨岡を見る、炭治郎は少し悲しい顔をした、深月の死の臭いがするのだろう
何故鬼を助けたのか?聞きたい事はあるのだろうが、炭治郎はなにも聞かずに部屋を出ていった
「子供達は無事なんですね」
炭治郎の気配がなくなると深月が喋りだした
「起きてたのか?」
深月は目を開け冨岡をみる
「あんな大きな声で何度も冨岡さーんって呼ぶから、私の方が先に目を覚ましましたよ」
クスクスと体を揺らして笑い、傷に響くと言って苦笑いする
いつもの深月の笑顔にホッとして、少し赤みが出てきた頬に触れた
「勘次郎さんにあんな噂を村で流されたら、あの子達の奉公先も嫁ぎ先もいい顔はしないでしょうね…」
冨岡は人さらいで深月は騙されて手を貸していた、そんな嘘を子供がいなくなった親達は信じて深月の元へ来たくらいだ
村で暮らすには苦労するだろう、深月はそれを心配していた
「冨岡さん……あと…ここは何処ですか?」