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かわいいひと

第16章 露草の消ぬべき恋も【宇随天元】





「7年前はお父さんが私の為に手を汚した だから今度は私の番だと思ってた…でも私は半端者だったね…」




「本当に…本当にお前は綺麗だな…」



宇随は峰緒の柔らかな胸に頭を当て そして子供が甘えるように宇随はグリグリと動かす



「首…すっげぇ痛てぇ…」


「ごめんね…でも天元が動くから…」


たしかに峰緒はクナイを首に当てただけ動いたのは宇随の方



「なぁ…俺の子に逢いてぇ…」


「天元にもいるでしょ?」


「俺ん所はまだいねぇ…夫婦で鬼狩りやってたら地味に出来なかった

まっ俺はまだ23歳だし 鬼も居なくなったんだこれから沢山作って派手に大家族になる予定だよ」



柔らかな胸に当てた耳に峰緒のトクトクと動く心臓の音が宇随の鼓膜を震わせる



「あんたの声や匂い 体温 感触全部忘れたの 忘れて生きて行くって決めたの」


「俺は忘れてねぇよ 最後にお前を抱いた日…派手に心臓に刻んでんだよ 匂いも声も峰緒の音も…だから派手に覚えているぜ 峰緒もそうだろ?俺に地味な嘘をつくな」


宇随が胸から顔を上げると峰緒は泣いていた

宇随の頬に峰緒の涙がポツリポツリと落ちる



「峰緒も俺の家族になれ お前の親父も双子も全員俺の家族だ…俺が全部愛してやる 俺の懐は派手にでけぇからよ まだ余裕なんだわ」


「天元が2人になっちゃうよ?」

「それも派手でいいんじゃね?」


ハッハッハッ と豪快に宇随が笑う



そうだった…私が愛した天元はこんな男だった


「天元…愛してるよ」

「馬鹿だな ずっと前から知ってるよ」


わーん と大きな声をあげて泣いた 7年分の涙は止まる事なく涙で目が溶けそうなくらい峰緒は宇随の広い胸にすがりついて泣いた


泣きつかれた峰緒はそのまま寝てしまい ヒクッと時々喉の奥を痙攣させながらも眠っている

そんな峰緒を抱きしめ眺める宇随の顔は幸せそうで雛鶴は声をかけるのを控えた

「雛鶴…すまないな 勝手をしたが家族が増えた まきをと須磨も許してくれるかな?」


「天元様 心配いりませんよ」

雛鶴の後ろにはまきをと須磨がいて うんうん と頷いていた

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