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かわいいひと

第16章 露草の消ぬべき恋も【宇随天元】




準備をしていた隠れ家に峰緒と双子を置いて父親は里に戻り任務に向かった

2日後 任務を終えて当主の元に報告へ行くと峰緒の逃亡が知れていて追手の選別をしている所だった

無表情な顔といつも気配を消している父親は娘が2人を殺し里を抜けたと話を聞いて




「我が家の恥…この手で始末をつける」



そう言った峰緒の父親の沸き上がるような殺気にその場にいた宇随の手は震えた




4人の忍と共に出立した父親はその忍らを殺害して死体も見つからないように処理をした


そして峰緒を迎えに行きすぐにまた移動をした 里を出てわずか3日で峰緒達は四国まで逃げていた












「あん時のオヤジさん派手だったぜ 俺も騙された 裏切者になった娘への殺気で音も気配もビリビリとしてたからな」


「自分がしくじったら何もかも駄目になるって必死だったって言ってた…」



左側に座った峰緒の姿は宇随からは見えにくく体ごと峰緒の方に向けた

月を見上げる横顔は15歳の時の面影がまだあるが大人の女性の顔…違うな母親の顔になっていた それでも峰緒は綺麗で その顔が寂しそうに見えて宇随は深く息を吐いた




峰緒は俺を殺せねぇ…



数ヶ月前の音柱の時なら峰緒の父親に俺は勝つだろう…だが左目と左手を無くしている今の状態で 7年前の父親の強さを考えると一対一でなら俺は殺されていただろうな…

だが…来たのは峰緒だ

峰緒は俺に逢いたかったのか?自惚れていいのか?




峰緒と父親は逃亡者だ…ささいな変化を嫌い姿を消すだろう

否…ささいな変化ではない「宇随天元」に見つかったのだ




そっと頬に触れると峰緒は少し首を傾けて宇随を見る





小さな頭を撫で手のひらに残る感触 嬉しそうにしていた顔 無邪気に笑う声 2人の重なり聞こえた鼓動…


その双子の母親は俺が初めて愛した女だ



「俺の前から居なくならないでくれ…」


地味で情けない言葉がこぼれた

天下の宇随天元様が聞いて呆れるぜ



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