• テキストサイズ

かわいいひと

第16章 露草の消ぬべき恋も【宇随天元】




峰緒の父親は里の者に見せる顔と家族に見せる顔は違った


父親が15歳の頃は男に対して女が少なく嫁は1人しかいなかった


見合いで結婚した2人だったが可愛らしく明るい性格の母と任務以外では穏やかで優しい父は忍の夫婦としては珍しく深い愛情で結ばれていた


愛を知った父親は忍の生き方に疑問を感じるようになっていて 峰緒には忍としての教育を積極的にはしなかった

峰緒は命をかけるのは当たり前…そう教え込まれて洗脳されているふりをしていた











結婚して2ヶ月がたった頃に峰緒は妊娠している事に気付いた

それと結婚してから月の物も1度もきていないことにも気付いた


『どっちの子供だろう…』



優秀な忍を増やす事を優先する里の当主ならどっちの子供だとしても生かしてくれると思う

父親の生き写しのような旦那も兄の実力は知っているから殺しはしない…と思う

でもそれよりも…宇随家と同じようにギリギリの量の毒を飲ませながら育てないといけないのか?
それを出来ないと断れば おそらく峰緒は子供と引き離され 当主の屋敷の使用人が育てる事になるのだろう…


しばらく悩み峰緒は父親に相談をした


腹の中にいる子供の父親がどちらかわからない事
宇随家のような育て方は自分には出来ない事




母親を亡くしてから気落ちして任務の時以外は寂しそうに暗い顔をしていた父親の目が強く峰緒を見据えた




「お前に覚悟はあるか?」




その日から峰緒と父親は里を抜ける準備を進めた


計画がわずかに狂ったのは峰緒の出産が予定より早かった事と
腹の中にいる子供が双子だった事



ちょうど父親が峰緒の見舞に訪れた時に産気づき2人の嫁に助けられながら産んだ
双子が 産湯につかり峰緒の横に並べられた時…黒髪と銀髪の双子を見て

(天元の子供だ…)


と峰緒は自分でも驚くほどに嬉しかった





双子だった事と銀髪の赤子がいた事を知ってしまった2人の嫁を父親は冷酷にも口封じの為に殺害した



よく眠っている双子を産着の上からさらに着物でしっかりと包み父親は自分の体にさらしで固定してから着物を着た


「お前は母親になったんだ今は死ぬ気で頑張れ 双子の為に」



そう言われて峰緒の体の震えは止まった






/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp