• テキストサイズ

かわいいひと

第16章 露草の消ぬべき恋も【宇随天元】




その日の夜は月が綺麗だった

嫁達は禰豆子と布団を並べて少し前までおしゃべりをしていたがいつの間にか静かになり眠っている

冨岡も炭治郎達の隣で寝息をたてていた


宇随は1人 縁側で胡座をかき月見酒を楽しんでいる 眠れない理由は分かっていた


右の手のひらを見つめる
昼間に触れた双子の柔らかな髪と小さな頭の感触が忘れられない…


静かな空気が僅かに揺らいだ



「峰緒」


懐かしい匂いのする方を見た



肩まである黒髪と群青色の瞳 胡桃色の着物を着た峰緒はふわりとそこに…7年前とあまり変わらない姿で立っていた





「地味に変わらないなぁ…」


「天元は…派手に変わったね…」



峰緒は宇随の左隣に座り空の盃に酒を注ぐ


肌を重ねていた15歳の時より宇随は身長は伸びたし筋肉もついているそれに左腕と左目を失っていた


酒を口に含むと首にヒヤリとクナイが触れた 宇随はそのまま峰緒の方に顔を動かす

薄く切れた首から赤い血がにじむ


それでも微笑み峰緒を見つめる宇随に彼女の瞳孔が少し開く



「殺すなら今だったな…」


「なんで…隙を見せたの?」


「峰緒にならいいか…と思った

だがよ 子供に天元と露花って名前を付けて宇随と名乗ってる峰緒には俺は殺せねぇよな?」


「相変わらずうぬぼれてんのね」


峰緒は笑いクナイを地面に振り下ろした



「峰緒が抜けた後に俺も心底忍の世界が嫌になった…そんで嫁達を連れて里を抜けた…それからは派手に鬼を狩って人助けをした それの代償がこの体だ」


朝日で焼かないと死なない化け物として忍の世界でも鬼の存在は知っていた

それを狩る組織鬼殺隊に所属して柱になり引退した事 この家にいる後輩達が死闘の末に鬼の居ない世界になった事も簡単に説明した






「天元にも一緒に逃げてくれる人がいて良かった…それに派手に賑やかなそうだね」



奥の部屋で眠っている8人分の音を聞きながら峰緒が笑い宇随の左側に座った





/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp