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かわいいひと

第15章 骨まで愛して 【妓夫太郎】




美津は妓夫太郎の首筋に顔を埋める 蕨姫の香水のいい匂いが微かにした


微かな匂いと妓夫太郎の冷たさが気持ち良くて美津は彼に抱かれたまま再び眠りについた


熱と甘い抱擁のせいで逆上せて桃色に染まった頬 少し開いた唇から見える白い歯が堪らなく色っぽい
思わず妓夫太郎は美津の唇を舌でなぞってから上唇と下唇それぞれに口付けをする それから美津の袷を開きふっくらとした胸に口をつけて吸い付き赤い痕をつけた


この痕が消える前にまたこの女の所へこよう…

乱した袷はそのままに少しの間美津の熱が少しでも楽になればと抱きしめた


柔らかな女の体を抱くのは何年ぶりだろうな…俺の容姿を見て嫌悪の顔をする女ばかり100年以上見てきた

この女は違った

驚きはしたが少し俯いて微笑んだんだ そして「また来てくれますか?」とも言った

その仕草や言葉が花魁なら手練手管だと冷めた目で見れるが 郭内に住み商いをしているがうぶな素人女だ…


妓夫太郎は少し浮かれていた
だから堕姫からたのまれた着物をほって美津の側にいる
夜明け前にようやく帰ってきた兄に癇癪を起こした堕姫だったが美津の仕立てた着物に袖を通すと 黒い衿の所に金糸で蝶々と彼岸花の刺繍が施されて見事なものだった


「美津だけは喰わないでおこうかね…」

うっとりと衣紋掛けに飾った着物を眺める


「お前のお気に入りか」

堕姫の体に融合ながら妓夫太郎が言う

堕姫は少し意地悪く笑った

「お兄ちゃんから素人女の匂いがプンプンするよ…
さてどっちのお気に入りなんだろうね?」


やっぱりばれたか…

妓夫太郎は返事もせずに堕姫の体に完全に融合した


照れちゃって…お兄ちゃんの為に協力してやるかね


堕姫は禿が見たら腰を抜かすほどの優しい笑みを浮かべた



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