第2章 また、会いにいきます 【富岡 義勇】
「深月の事は心配ない、一人になったら俺が責任を持って連れていく」
※訳※
子供達の手が離れたら、ちゃんと俺の手で斬り消滅させるから心配しないでくれ
口下手で嘘が苦手な冨岡としては精一杯の言葉なのだけど、
そもそも、深月が鬼で冨岡が鬼殺隊士の関係を知らないし、言えないのだから残念な事に全く伝わらない
ただ勘次郎は「深月は俺のだ」と言われたのだと思った
「馬鹿にするな!」と冨岡を睨み付け帰って行く
「…すまない怒らせてしまった」
シュンとなり謝る冨岡に全く頼りにしていいのか分からない柱さんだねとため息を吐いて俯く冨岡の頭を優しく撫でた
「謝んなくていいよ、ありがとう」
頭を撫でられた冨岡は遠い昔の記憶にある姉上の手の感触を思い出した、懐かしさとともに胸に広がる初めての感覚に少し戸惑いつつ
「次の満月の日にまた来る」と言って歩きだす
冨岡が道を曲がる手前で振り返ると、深月と起きてきた子供達が
「満月だね!待ってるよ~」と手を振る
冨岡はまた胸に広がる感覚に戸惑いながらも、右手を上げ子供達に答えてからまがった
それから何度か冨岡は満月の日に深月の元に通っている
勘次郎の事も気になり調べた、江戸からつづく村の名主の次男坊で村の女に手をつける、数件ある茶屋にも馴染みが居たりと女癖が悪い、子供に甘い母親が我儘に育てたお坊ちゃんだった
山奥で子供とひっそり暮らす深月にちょっかいを出していたらしい
深月が言うには普段は耕吉と亮吉にあしらわれている位だから意気地無し…らしい
冨岡が帰る時に気配を感じる時があるが確かに殺気立つ感じではないので気にはしてなかった
そんなある日子供達が寝たあとに、深月がちょっと月見でもしましょうと、縁側に誘った
冨岡が土産に買ってきて、残っていた団子とお茶を挟んで縁側に座った
「最近この山の近くで子供が次々と神隠しに合う事件が起こっていて…鬼ですかね?」
「そんな報告は無かったが、調べてみよう」
深月の声が少し緊張している様に感じて冨岡は深月を見た、深月は少し震える手を膝の上であわせ俯いていた
「私…子供を手放そうと思ってます、鬼にしても人さらいだとしても子供達の事を考えると…」
少し早いですけどそれがいいと思ってと寂しそうに笑った