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かわいいひと

第13章 思い出紡ぎ 【悲鳴嶼 行冥】




「可愛らしい名前だろ?理事長の趣味だぜ…弥雲さん」


なんだ?馴れ馴れしいな…
チャラそうな先生は無視して生徒に説明を続ける

「では かぼす組は左奥にあるピオーネの収穫して下さい 紫陽花組は真ん中の甲斐路の収穫 筍組は右手前のマスカットです
良くみて美味しそうなのを1人2房採ってくださいね!」



生徒達ははしゃぎながら葡萄畑を走っていく

気が付くと私の隣に引率の先生がいた

日除の帽子を被っていたから気が付くかなかった…その人は白髪で顔に傷痕がある私が夢でよく見る人だった


「不死川くん…?」




「久しぶりだな…弥雲さん」



15歳の時から見ていたあの生々しい夢が…突然目の前に現れた



「夢だと…思ってた」



「俺も始めはそう思ったぜ 大学卒業して就職の面接で御館様とあまね様に会った 初出勤の日に職員室で新卒入社の冨岡と伊黒と胡蝶に会った 先輩に宇随がいて 1年後輩に煉獄がいる…」



「行冥くんは…いるの?」



私は夢の中の人に恋をしていた



「居るぜ…今日は牧場体験に行った」



「動物…好きだもんね 今でも猫好きなの?」


「すっげー猫アイテムばっか持ってるぞ」


「やっぱり可愛らしい人」



私は鼻水が垂れるほど泣いてしまった

生徒達は葡萄に夢中で上ばかり見ている

あんまりにも汚く泣くから不死川くんが「鼻水くらい拭けよ」と笑う

でも慌てて指導にきた私は拭くものなんて持ってなかった


「仕方ねぇなぁ…」

不死川くんは首に巻いていたタオルで私の涙を拭いてから鼻にタオルを持ってきて「ほらチーンってしろ」と子供扱いをする

素直に鼻をかむ私に

「無いわぁ…絶対無いわぁ…」

女としてのダメ出しをされた




でもその顔は優しくて鼻水まで綺麗に拭いてくれた




「えっ…?先生泣かしたの!なんで?」



気付いた生徒達が騒ぎ出したけど

「昔よくお世話をしててね…こんなに立派になったのを見て泣いたのよ」


そんな嘘を付いて誤魔化した













「消灯時間に308号に来い」


ゼリー作りが終わり解散になると不死川くんが言った


消灯時間前に合宿施設の玄関に着いた
騒いでいた生徒がロビーで正座させられている

睨みをきかせてる不死川くんが私に気付いて視線で行けと合図をくれた
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