• テキストサイズ

かわいいひと

第13章 思い出紡ぎ 【悲鳴嶼 行冥】




「み…くも…弥雲…」


いつもの優しい声が私の耳をくすぐった

声のする方へと体を向けようとして激痛が体を貫く


「っ…く……い…痛い」

「目が覚めたのか…弥雲…よかった」

行冥くんは涙を流しながら大きな手で私の頬を撫でた


彼の姿以外は見慣れない部屋にいて私はベッドに寝ているようだ…


「病院?」

「あぁ…ここは鬼殺隊本部にある病院だ 君は鬼と遭遇した…」


思い…出した

2人の隊士が鬼と戦闘をしていた 彼らの階級の実力より強い鬼で 私が夜明け前に到着した時には1人は両腕の骨を折られて戦闘不能 もう1人も追い詰められていた

手が震えて闘えなくなっていたけど全集中の呼吸はまだ使えていた
私は戦闘不能になっていた隊士の日輪刀を手に取りかまえる


「全集中の呼吸 壱の型 神旋風 削ぎ!」










「病院にいるって事は型を出した時に手は震えなかったのかな…私は鬼の首を切れたの?」

「あぁ…そうだ 弥雲は2人の隊士を守れた」

「数年ぶりに全集中で型を出したから体に反りがきてるのね…ダメね…私…」


選別から何年たったのだろう…行冥くんはもうすぐ柱になる位強くなったのに


同期だった彼と恋人になって数年…柱になったら一緒に暮らそうと言われた


「私は…弱いね…」


こんな事言っても彼を困らせるだけなのに つい口からこぼれた


頬に触れていた手が移動して親指が唇をなぞる…これは行冥くんがいつもする口付けの合図だった


優しく触れるような口付けが次第に深くなる

体の大きな彼は目立つので自宅以外の場所ではこんな触れ合いはした事がなかった
しかも鬼殺隊本部の病院で関係者ばかりの施設で…

「ん…はぁ……行…冥くん」

頭がぼんやりとしてきて私が声をもらすとようやく口付けが終わった



「2人かがりでも倒せなかった鬼を倒したのだ 弥雲は弱くない…強く可愛い私の恋人だ」

「行冥くん…ありがとう」

私よりも涙を流す彼の頭を撫でた




「退院したら私の屋敷に来なさい もう準備はできてるから」




私は3日間目が覚めなかったらしい
その間に彼は柱になり元岩柱の屋敷を譲り受け その屋敷に私の荷物はすでに移動していた


この日から2日後に私は退院して行冥くんと一緒に暮らし始めた



/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp