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かわいいひと

第2章  また、会いにいきます 【富岡 義勇】





……そうだな人ではないな

富岡も空を見上げて深く息を吐くと、深月を見る

「分かった必ず…約束する」


「斬る」と言いたかったが子供に聞かせたくなくて言えなかった



山奥の夜は早く訪れた、夕食を食べると頷いてしまったので帰る事も出来ず居座る事になる


暗くなる前に深月は藤の花の香を焚き家の角に置いた


子供達が作った食事が並べられ、五人でいただきますと手を合わせた

鬼殺隊の富岡を始めは警戒していた子供達も、何処から来たのか、何故隊士になったのか、本当に強いのかと質問責めにする
最後は深月から質問は食べ終わってから!と怒られ素直に「はぁい」と返事をしてやっと静かに食事ができた


大人の男が家に居る事が初めてだったので子供達は、はしゃいだあげく富岡を囲むように寝てしまった

眠り込んだら引き剥がしても起きないからもう少し我慢して下さい

やっぱり男の人が居ると安心するんですねと少し寂しげに笑った


「鬼だと話してるのか?」昼間の子供達の反応を思い出し深月に問いかけた


「小さい頃から言い聞かせてます」そっと添い寝している小春の頭にふれる


「私は同じ所に長くは暮らせませんからね…子供の手が離れたらここを出て行く事も知ってます」


だから富岡が斬って灰になったとしても、子供達は深月が居なくなったのは別の土地に移ったと思うのだろう…



「…何故俺が柱だと分かった?」


「二百年鬼切りから逃げてますからそのくらいは分かりますよ、それに私は元々は剣術道場の養女ですからね強い人はそれなりに分かります」


「でも私…柱を見たのは富岡さんが初めてですよ」

こんなに長く…二百年も…


呟くような会話が途切れ深月を見ると寝ていた、すうすうと寝息が聞こえた


夜道は鬼殺隊士だから全く平気だが、富岡が今帰ると戸締まりをするはずの深月が寝てしまった

女と子供しか居ない家だから、どうしたものかと富岡は悩む

しばらく悩んでいる富岡の耳に四人の穏やかな寝息が聞こえくる

添い寝している深月の寝顔が優しく本当に子供達を慈しんでるのが伝わってきて、富岡の胸が(とくん)と鳴った


「深月も子供達も…呑気なもんだな…」


「…俺もか」と、呟いて夜明けまで居る事にした




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