第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
あの子達だな…
あっという間に結婚情報は広まってしまったらしい…
「父上も母上もそわそわしてますから 早く上がって下さい」
「せ…千寿郎様…お久しぶりでございます」
頭を下げる海景に千寿郎はニッコリ笑う
「姉上と呼んだのは確かに久しぶりですが…海景さんとは毎週食堂で話をしてますし道場でも会ってますよ
海景さん…様はいりません やめないと僕も姉上様か海景様と呼びますからね!
それに…また姉上と呼べる事がとても嬉しいのです 今度は兄上と共に長生きしてください」
「ハイ…千寿郎くん 長生きします」
結婚の話が自分達の口からではなく回りからの噂話で伝わったのは予想外だった
急に緊張して笑顔がぎこちない海景に千寿郎は海景の知らない話をした
「震災で深影が亡くなった後の話をします 要から報告を受けて父上と僕は葬儀に不知火家へ行きました…父上は」
『杏寿郎の側に深影を置いてやりたい…少しでいいから分骨をお願いしたい』
炎柱の羽織で作った風呂敷を開き小さな骨壺を出して 影盛(深影の父)に頭を下げた
なにも聞かされていなかった千寿郎は驚いたが一緒に頭を下げる
深影の両親は涙を流し骨壺を受け取り後日深影の骨を入れた小さな骨壺と深影が肌見離さず持っていた簪と古く色褪せた鈴を煉獄家に持ってきた
それを父上は煉獄家代々の墓ではなく鬼殺隊本部のある隊士の墓にある分骨して埋葬した杏寿郎の墓に入れた
『2人きりがいいだろう』
そう言って父上は墓石に新しく煉獄杏寿郎の名前の隣に妻深影と彫った文字をなぞった
「そんな優しい父上です 深影が襲われた後に日輪刀をもって留置所に行った父上ですよ?海景の事も大好きなはずです心配いりません!」
「そうだな…父上はいつも深影には優しかったな」
隣を見ると一生懸命に涙をこらえて変な顔になっている海景がいた
なかなか玄関から奥へと来ない俺達に痺れを切らした父上が登場すると海景は父上に抱きつき大泣きをする
その声に何事かと玄関に来た母上が見たのは
父上の胸にすがり子供のように泣く海景と海景の頭を撫でて笑う父上の姿とそれを見ている俺達兄弟の姿だった
「私を仲間外れにしないで下さいね」
さぁさぁ玄関で騒いでいないで中に入りなさいと言われやっと玄関から離れる事ができた