第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
「不死川とは仲が良かったのか?幸せになって欲しいと言っていた」
シャワーを浴びた杏寿郎はタオルで髪を拭きながらリビングのソファに座りカバンから肌色のテーピングを出して洗面所に戻り首の痣を隠した
「杏寿郎が居なくなって…色も匂いも感情すらなくなった世界が辛くて…本当に辛くて…杏さまに逢いたくて49日が終わったら死ぬつもりでいたの
皆は私の考えが解っていたみたいで毎日鴉が何羽も来るし
宇随さんのネズミは私が食事をしてるか見に来て食べてなかったらお嫁さん達が来て一緒に食べるの…
伊黒さんの鏑丸くんもほぼ毎日朝の挨拶に来て私が生きてるか確認してるみたいだった
杏寿郎の遺言を伝える為に来た炭治郎くんが倒れて庭にいた鴉に助けを呼んだら不死川さんが来て…
2人で炭治郎くんを布団に寝かせた後に生きるか死ぬか決めたのかって聞かれた…
だから死ぬつもりだから止めないでってケンカしました」
「あの不死川と?」
「はい あの不死川さんとです
でも炭治郎くんが…真っ青な顔をして言い合いをしている私達を止めてくれた
それから…杏さまの言葉と…簪を…
簪の猫を見たら…
色も匂いも感情も無くなっていたのに…杏さまの髪の色や抱きしめられた時の匂い…愛されてた時の痛みを思い出して思わず笑っちゃったの
それと振り返らずに任務へと向かう背中を…
幼い時から一生懸命に生きていた杏さまに生きる事を放棄した私が同じ所に逝ける訳がないって思ったんです
だから…私も頑張って生きた…
それを不死川さんは見ててくれたの
頑張ってるかァ って頭を撫でてくれてお兄さんみたいだった
お兄さん…だった…不死川さんの気持ちには答えられなかった それを不死川さんも分かってた…ただそれだけ」
杏寿郎への愛は時がたっても深まるばかりで思い出にはなったけど色褪せる事は無かった
ただ私も長生きはしてないから10年20年と時間がたてば変わったのかも知れないけどそれも考えても仕方がない事だ
「そうか…すまないな辛い話をさせた」
「大丈夫だよ 炭治郎くん達の面白い話しも一杯あるし皆の光になれたかは分からないけど頑張ったからほめてね」
ソファに座っていた杏寿郎が私の後ろに立ち抱きしめて「深影ならきっと光になってた…」と言ってくれた