第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
カーテンの隙間から日が差しこみ目を覚ます隣でうつぶせに寝ている海景の背中の産毛に光があたる…見た事のある景色に懐かしさを覚えた
「優しくしなくていい…杏寿郎が生きている事を感じたい…」
海景の言葉に100年分の思いをのせて少し乱暴に抱いてしまった
最後は泣きながら果てた海景の目蓋は赤く腫れている
はだけた薄い羽毛布団を引きよせて海景の体に掛けた
海景を起こさないようにそっとベッドを抜け出しリビングへ行くと丁度いいタイミングでマナーモードにしていたスマホが震えた
見ると不死川からの着信だった
「よぉ煉獄…野暮な電話で悪いな」
「いや大丈夫だ…どうした?」
寝起きのかすれた声に不死川は笑い
「お前海景の所だろ?家どこだよ」
合宿所に置いたままの俺の荷物を持って来てくれるらしい
30分後に森林公園の西口まで来てくれる事になり
顔を洗い身支度を整え海景が起きた時の為にテーブルの上にメモを残した
[公園の西口まで荷物を取りに行ってくる 鍵を借りていく]
海景が玄関に置いた鍵をポケットに入れ公園に向かった
コンビニで剃刀と歯ブラシを買い西口にある駐車場に行くと不死川は缶コーヒーを飲みながら待っていた
遅くまで飲んだみたいで下ろした髪の間から見える目が少し眠そうにしている
「おはよう!わざわざすまなかったな!」
おはようと言うにはもう昼になる時間だ
「おはようの時間でもねぇし…声もでけぇ…」
「夜ふかしはお互い様みたいだな!」
「俺らはいつもの飲み会だからよ…
お前タオルは持ってるか?」
「? あぁ…持っているぞ」
荷物の中からタオルを出して不死川に渡すと 俺の首にタオルを巻きつけた
意味が解らずに不死川を見ていると
「意外と海景は積極的なんだな…消えるまではネクタイしろよ煉獄センセ」
不死川は自分の首をトントンと指で叩いた
あぁ そうか…昨日の…
だからコンビニの店員の視線の位置が低かったのか…
「よもやだな…存外…俺は浮かれているようだ」
色々と居たたまれなくなり耳まで熱くなる…
「いいんじゃねぇの?そんな煉獄も
平和になったからこそじゃねぇか…
俺は海景には幸せになって欲しいからな大事にしろよ」
俺の肩をパンと叩いて笑った