第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
海景はグラスをテーブルに置き抱きついて 耳の後ろに鼻を擦り付けてクンクンと匂いをかいだ
「それに…結婚するんでしょ?」
囁き声は鼓膜を揺らし吐息は肌をくすぐる
「だが…結婚よりデートがしたいと断られたぞ?」
「意地悪だなぁ杏寿郎は…
結婚を断ったんじゃなくて夫婦になってから一杯デートするの!
今日から杏寿郎を独り占めにするの…恋人らしい事をいっぱい満喫してから 子供を考えよ?子供は何人欲しい?」
海景の甘い囁き声と甘い匂いに胸がドキドキとするし心は温かくなる
柔らかく温かな海景の体を抱きしめ未来を考える
鬼の居ない時代がきてこんなにも幸せな気持ちで過ごせる事が奇跡のように思う
他の柱よりも早くに戦線を離脱した俺には勿体ないくらいだ
「煉獄さんの勇姿と言葉が俺達を強くしたんです だから途中離脱ではありません 最後まで一緒でした!」
入学式の後に俺の所に走ってきた竈門少年達3人は泣きながらそう言ってくれた
「ひとりにして…すまなかった…」
「名前も知らない乗客の命を守るより…自分の命を守って欲しかった…」
抱きついていた海景が体重を乗せてきてソファーとテーブルの間に押し倒され海景が俺の顔を覗く
「でも…そんな杏さまは嫌い…炎柱煉獄杏寿郎は…彼の最後はあれで良かったの…だから謝らないで…大好きだったんだから」
口付けを落としながら海景が話す しゃべるたびに唇が触れて欲が蠢きだす
「だから…鬼殺隊じゃない鬼の居ない今は…ただの教師の杏寿郎なら 杏寿郎の1番を私にして…居なくならないで…私を照す太陽でいてほしい…」
カリッと海景が耳を噛んだ
「この耳に教えたから…忘れないで」
「あぁ…忘れない…」
「んっ…あ…手は…意地悪…」
Tシャツの裾から手を入れて海景の胸の先端に触れる
感度のいい海景はそれだけで体を震わせテーブルに当たりグラスがカシャンと音をたてた
「ここでは危ないな」
海景を横抱きにしようと膝裏に手を伸ばしたら
ぐうぅぅぅ
腹の虫が鳴いた…自分から出た音ではない 目が合うと海景はふにゃりと笑い
「えへへ…体は正直だ 今は食欲が勝ったみたい…先にご飯食べる…ごめんね」
海景が俺の手からするりと抜けると「いただきます」と両手を合わせた