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かわいいひと

第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】




もよりの駅に着くと2人は車から降りて私に「家に遊びにきてね」と言いながら手を振った

さすが学園の三大美人さんが2人並ぶと通り過ぎる人も振り返って2人を見ている

そんな美人さんに手を振ってもらえる私って幸せだ…


忘れ物が無いか後ろを振り返ると2人で積めていた重箱が残っていた


「しのぶさん!忘れ物!」

助手席に近づいたしのぶさんは


「今の私は18歳の女子高生ですから…『さん』ではなくて『ちゃん』って呼んで下さいね


その重箱は忘れ物ではありません 煉獄先生の為に積めましたから…」


手をひらひらとさせてニッコリ笑う


……あれは しのぶさんの悪い方の笑顔だ




「海景は森林公園の方だったか?」

「はい…公園の西口の近くです」





駅前のロータリーを軽やかにワンボックスは発車した


大通りの交差点で止まった時煉獄先生が左手を差し出してきたから
私はなんとなくその手に私の右手を重ねる



「不死川がな…」

指が私の指に絡み付き恋人繋ぎになった

不死川先生が…なんだろう…



「今日は帰って来なくてもいいと…言われた
たぶんそうなった時の為に胡蝶達は重箱を置いて行ったんだろう」


不死川先生は合宿所に帰らなくていいと言った
宇随先生はビールを持って帰れと押し付けた
作った料理は三段重にたっぷりと入っている しのぶさんも「煉獄先生の為に積めた」と言っていた


しのぶさんの笑顔の意味が分かった



いつの間にか信号は青になり公園の西口が近づく



「混乱してるな…海景がダメなら俺は学園に帰るから急がなくていい…海景のペースで俺を受け入れてくれたら嬉しい」


絡まり重なりあっていた手をキュッと煉獄先生が握った

前を向いて運転する顔が柔らかく笑う その笑顔に胸が締めつけられる


日が傾き少し茜色に染まりつつある光が煉獄先生に当たり髪がキラキラと黄金色に輝く…綺麗な人だと思う

今も昔も太陽のような人だ

杏さまは手の届く全てを守りたいという思いが炎の塊ようだった

私や千寿郎様の前でだけ炎柱の顔を脱ぐ…そんな杏さまを私は守りたかった


「少し混乱してます…でも」

「でも?」


赤信号で車が止まる 私は繋がれた手を引き寄せ煉獄先生の手の甲に口付けた



「もっと近づきたいです」



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