• テキストサイズ

かわいいひと

第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】




8合炊いたごはんはさつま芋分を足すと1升分くらいの量になっている
少し冷めた方が美味しいので おひつに入れて食堂へと持って行いくと

慎寿郎様と瑠火様と叶芽が食堂に来ていた



長い間飲んだくれて不精ひげをはやし自堕落な生活をしていた父上様だった 杏さまが残した言葉と竈門くんのお陰もあって以前の様にもう1度刀を持つまでに立ち直り千寿郎様に目を向けてくれた

目の前にいる父上様は若葉色の訪問着でひげもキチンと剃り キリリと若々しい姿だった


瑠火様も以前と変わらず女性らしい柔らかな空気をまといながらも凛とした美しい女性だった 父上様より少し薄い若葉色の着物がよく似合っている



あれだけ泣いたのにまだまだ涙は渇れることもなくポロポロと溢れる




「父上様…瑠火様…お久しぶりでごさいます」


それを言うだけが精一杯で言葉が続かない


瑠火様はニッコリと笑い私に近づき涙をハンカチで拭いてくれた


杏さまと同じだ…杏さまの優しさはやっぱり瑠火様譲りだと思う



「海景…私の事も母上様と呼んでいいのですよ…すぐにそうなるのでしょう?」




さっきの杏さまの声が聞こえていたのか瑠火様は少しからかうように言ってくるし叶芽もキラキラとした目で私を見てくる



「要…私の所に来てくれてたのね…ありがとう」



「杏寿郎の最後の頼みだったからな…」



『深影の側にお前はいてくれ…俺の代わりに…』


そんな事を言われたら聞かない訳にはいかなかった…でもその深影もすぐに亡くなってしまった

だからもう 誰の側にもいたくなくて自由気ままに生きて私は死んだ

できる事ならまた2人に逢いたいと願い死んだ私の気持ちが神様に通じたのか 今こうして人として海景の妹になっている




「私は杏寿郎の代わりに側にいた
海景が深影の記憶を思い出し 杏寿郎に会えた今は…おそらく叶芽の成長とともに消えていくだろう…それまでは仲良くしてやるぞ」


私の意外な告白に海景は「悲しい事を言わないで」と泣くが私は2人に会えた事でもう十分幸せだった


「そもそも杏寿郎の代わりだ!我儘に付き合わされただけだ」



杏寿郎を指差しわざと迷惑そうに言った



「役目は終わった…それに叶芽には私の記憶に囚われず自由に生きて欲しい…」


それが本心だ

/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp