第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
炊きあがったさつま芋ごはんの仕上げにかかる
塩とさつま芋を入れて炊いたごはんに甘辛く味付けをして煮たさつま芋を混ぜこめば『おひさま食堂』の毎月10日に出していた『さつま芋ごはん』の完成
もう知ることは出来ないけど…杏さまの誕生日の10日にこのごはんを作っていたのだと思うと両親には前世の記憶があったのだと思う
「ふむふむ…甘辛いイモは冷やしてから最後に混ぜるんですね…なるほど…」
「冷やした方が混ぜこむ時にイモの形が崩れにくくなるのと塩味のごはんに味が染み込みにくいから
しょぱ味と甘辛味がはっきりして美味しいんですよ」
私の隣で説明を聞いているのはしのぶさん
杏さまは私が説明しているのを後ろで見ている気配がする
休みの日は鍛練を終えた杏さまが汗を拭いながら 台所に立つ私をよく見ていた
『料理をしている深影は綺麗だな』
ある日の言葉が甦り私は振り向いた
「杏さま…綺麗ですか?」
「あぁ…今の海景も綺麗だ…」
隣のしのぶさんはちょっと飽きれ顔になり
「煉獄さんはやっぱり煉獄さんですね
深影さんといる時はいつも柔らかい目をしてました 今も同じ顔をしてます」
「そうだろうな!俺は15歳で思い出した時から深影に巡り逢うのを楽しみにしてたからな!今すぐにでも結婚したいくらいだ!」
「プロポーズですか?どうします?海景さん」
海景さんを見ると こっちも幸せそうな顔をして笑っている
蝶屋敷の子供達と商店街へ行くと 深影さんと煉獄さんを見かける事があった
煉獄さんはいつも左側を歩いていた 一度煉獄さんに見えない右側を何故歩かないのか聞いた
「深影から…俺が見えない方が寂しいと言われたんだ」
鬼殺隊の隊士や任務中には決して見せる事のない柔らかな顔だった
「結婚より…デートがしたいです」
恥ずかしながら言う海景さんは 私が嫁に欲しいくらいだった