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かわいいひと

第1章  歩く姿は… 【不死川 実弥】



「ほぅ…もう一人いたか」


生臭い嫌な臭いがさらに濃くなる



なんの臭い? 足がすくむ。

叫びたいのに息がうまく吸えない

あの男は何を持っているの?


生臭いにおいはどんどん濃くなり頭が混乱し、ただ男を見ていた


雲が動き月明かりがゆっくりと戻って

男の姿が浮かび上がる。少し背が高く若草色の着流しは赤が不自然に散った奇妙な柄だった


「これは美味しそうな娘だねぇ」

ながい爪の生えた指が口許に行く
口からも人のものとは思えないくらい長い舌が出てきて指についた汚れをなめとった

ひとつ瞬きをして目を開いたら

!!!

男は吐息がかかる位の距離にいた


いつの間にか衿を掴まれ、長い舌で頬を舐められる

身動きも出来ない、視線も動かせない
声も出せない

ただ生臭い臭いだけが濃くなり苦しく息が上がった


「いいねぇ その脅えた顔 その顔を見ながら少しずつ食べたいねぇ」


「食べ…る?」

ようやく震えながら声がでた

「そうだよ」

頬から首筋へと舌をからませながら男は喋る

「君の両親は僕の嗜好ではなかった
だからただ殺した。だけど子供はいいよねぇ ふふっ
あの小さな男の子は柔らかくて脂も
甘くて美味だったよ」

掴まれてた衿はいつの間にか開かれ首筋から胸元にかけて爪で浅く切りつけられた

目の前に要るのは多分人間ではない

そう気付いてからは恐怖で動けないでいた

「小さな男の子…?小太郎を…弟に何をしたの」


「言ったじゃないか美味しいかったって」

私はいつの間にか縁側の柱に後ろ手で縛られ身動きが取れないでいた


切り裂かれた所から流れる血を男は舐めとりながら言葉を続けた


「僕はね、人間なら何でもいいんじゃないのだよ。18歳位までの子供しか食べない」

「そして1度に沢山食べない。じっくり熟成させて食べる。だから残りは持って帰るんだよ」

そう言うと私の目の前に小太郎の首を差し出した


「小太郎!!いやぁぁぁぁぁ」


「子供はね、まだ頭をあまり使ってないだろ?だから脳が柔らかくて美味しいんだよ」

まざまざと見せつけられた現実に心と体が悲鳴を上げ私は泣き叫んでいた
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