第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
「俺は7人兄弟の1番目だ 抱っこは慣れてるから…ほら」
叶芽を受け取った不死川先生は本当に上手に抱っこしていた
「家は遠いのか?」
「バスで15分です」
「じゃあ…俺の車で送ってやるよ ジュニアシートもあるしな…言ったろ?7人兄弟だって 1番下はまだちっちぇからチャイルドシートもあるぜ」
笑うと幼くなる不死川先生の笑顔を見て懐かしい…と思うのと同時によく似た黒髪の男の子の顔がふわりと浮かんだ
さっきから何だろう…この人達が私に向ける眼差しが優しい…
それを懐かしく受け止める私も…おかしい…
普段なら初対面の人の車にましてや、家に送って貰うなんて絶対にしないのだけど…
何故か不安がない…だから
「ありがとうございます」と素直に答えていた
「ヤダ…杏寿郎がいい…実弥ヤダ」
半分眠りかけている叶芽が杏寿郎、杏寿郎と何度もイヤイヤをする
「煉獄は今から稽古だ…俺で我慢しとけな?叶芽ちゃんよぉ」
「…………………………ヤダ…」
「ずいぶん考えてから言いやがったな…どうする煉獄?」
「叶芽!俺は今から生徒に稽古をつけなければならん 俺と帰りたいなら…終わるまで道場に居るといい…白井さんはそれでもいいか?」
不死川先生の腕の中で今にも寝てしまいそうなのを我慢して「杏寿郎がいい」とまだ言う叶芽に…私も折れた
「分かった…道場に行こうね」
それを聞いた叶芽は煉獄先生に手を伸ばして抱っこをされる
「煉獄先生!私仕事の途中だったので食堂に戻ってから行きます あとガラスも割れたから掃除をして事務所にも連絡を……」
色々と終わらせない事が沢山あり一気に話し出す私に
「部活は6時まで それからシャワー室を使い生徒は帰るが 俺もテスト準備の資料とかまとめないといけないから7時くらいになるんだ…」
だから慌てなくていい…と私が気を使わなくていいように言ってくれた
「俺は叶芽には好かれているみたいだからな!心配はいらない!
それと宇随!食堂のガラスの手配は任したぞ!」
「あぁ…」
キラキラな飾りを着けた宇随先生は頭を掻き「ガラス代…高くつくなぁ」とボヤキながら中等部の食堂に歩いていく
「叶芽が…ワガママを言ってすいません」
不死川先生と煉獄先生にお詫びを言ってから宇随先生を追いかけた