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かわいいひと

第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】




ギィィヤァァァーー


さっきまでのご機嫌だった幼子が凄い勢いと声で泣き出し、肩に爪を食い込ませ強い力でしがみついてくる…


「宇随か…」

中庭に面した美術室の窓ガラスは割れて煙があがる

幼子を抱えたまま美術室に近づくと宇随が出てきて苦笑いする

職員室に残っていた不死川と伊黒が消火器をもって飛んでき


その間も凄い勢いで泣き続ける幼子の背中を擦る俺を宇随が見て

「煉獄…隠し子いたのか…」呑気な事を言って笑い不死川から殴られていた





「叶ちゃん!叶ちゃーん!」

女性の声がハッキリと聞こえ肩にしがみついていた幼子がバタバタと暴れだし


「ま"ま"ぁーま"ま"ぁー」と泣き叫ぶ


「煉獄!落とす前に取りあえず子供を下ろせ!」


不死川に言われ地面に下ろすと
幼子は女性の元に走って行き抱きしめられると激しく泣いた



「かなめ…大丈夫だよ…大丈夫…」





「…煉獄…あいつは…」伊黒の視線が親子をじっと見ていた



幼子を「かなめ」と呼んだ女性がしっかりと「かなめ」を抱きしめて頭と背中を擦っていた














「大丈夫…怖くないよ…1人じゃないよ…大丈夫…」



叶芽は大きな音に過剰に怯える

たぶん衝突した時の音を連想させるのだと思う

そして…事故現場で叫んでいたのと同じように泣き叫ぶ


「叶芽…1人じゃないよ…ほら…私を見て…」

虚ろな目をしていた叶芽がしっかりと私を見てしゃくりあげながら名前を呼んでくれた

「み…み…かげ…ちゃん…」

「そうだよ…海景だよ…」


やっと気持ちが落ち着いた叶芽から顔を上げて周りを見る余裕が出来た




中庭にいたのは高等部の教師だった


「今年から中等部の食堂で栄養士をしています

白井海景です…そしてこの子は叶芽です」




しがみついて離れない叶芽が抱っこをせがみ出して仕方なく12キロある叶芽を抱っこする



「ありがとうございました…ちょっと目を離したら居なくなっていて…
叶ちゃん…どうして外に出たの?」


叶芽は1人の先生を見て不思議な事を言った


「杏寿郎……見つけた…から」


「きょうじゅうろう?って誰?」



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