第12章 私の太陽 令和編【煉獄杏寿郎】
キメツ学園に来るのは初めてな叶芽は大きな目をキラキラさせてはしゃいでいた
食堂から見える中庭に咲く藤の花とツツジが綺麗だと窓から眺めて喜んでる
「お姉ちゃんもう少しだけ仕事するからここでいい子で待てる?」
「お花綺麗だからお絵描きしていい?」
「いいよ」
休憩室からコピー用紙を取ってきて鉛筆と消しゴムと一緒に渡すと、大きな窓の前に座りよくわからない絵を書き出した
しばらく一緒に遊んでから「じゃあ行ってくるね」とバイバイをして叶芽が見える所で資料を開いた
「あれ…ページが飛んでる…仕入れ値と売り上げの表がない…」
奥のパソコンで確認しないと…
「叶ちゃん!お姉ちゃんちょっと奥にいってくるからね!」
「行ってらっしゃい」と返事が聞こえて、熱心に絵を書いてる姿を確認してパソコンの所に向かった
春の大会が近いので剣道部の補欠部員の力の底上げの為に胴着を着て中庭を歩いていた
今年は鬼殺隊の少年達が入学したので期待したのだが
「パン屋を手伝うので無理です!」
「俺は壱の型しか出来ない男なんで!」
「二刀流ならやってもいいぜ!」
それぞれ話にならず…まぁ今生では好きに生きるのもいいだろうと諦めた
藤棚の下を歩き道場へ行こうとしたら、突然幼子に抱きつかれた
「ん?君は誰かな?」膝をつき目線を合わせる
2つに結んだ黒く艶のある髪、黒く輝く大きな目が俺をじっとみつめる
思わず手を伸ばすと俺の体をよじ登り肩の辺りにしがみついて離してくれなかった
「おいおい…困ったな…迷子か?」
髪を撫でると、くすぐったそうにしてキャッキャと喜んでる
何故か悪い気もせずに幼子と目を合わせこっちもニコニコと笑ってみせた
「杏寿郎…」
幼子が名乗りもしていない俺の名前を呼んだ
「君は…?」
ドカン!!
大きな音と共に食堂のガラスが数枚割れた
慌てて叶芽の所に行くもさっきまでにぎっていた鉛筆が落ちていて破片が飛んでいる
もう1度ドン!と大きな音がして飛んできた破片が右目の近くに当たり血がでた
「叶ちゃん!叶ちゃん!どこにいるの!」
何が起きたのかわからずただ必死に叫んでいた