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かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】



2人でゆっくりと長い階段を登る

寝込んでもいなかった三葉の方が息が上がり口で呼吸をする

途中で立ち止まり三葉の息が整うまで冨岡は待ってくれた

白い息を吐く三葉を優しい顔で見る冨岡に三葉は涙が出そうになる


「良かった…冨岡さんは大丈夫そうです」


「大丈夫?」


再び階段を登りながら三葉は笑う


「冨岡さんはいつも悲しいような寂しいような深く青い瞳をしてましたから…
でも最近は柔らかく優しい瞳をしています」


手水所で三葉が柄杓を取り先に清めて手拭いで拭いてから冨岡の手に水を注ぎ拭いてくれた

袂から小さな巾着を出して2人分の賽銭を入れてお詣りをした



最後に一礼して顔を上げると三葉まだ手を合わせている
なんとなく隣で三葉が終わるのを待ちようやく一礼をした


「なにをお願いした?」


「亡くなった隊士の魂が天国に行って鬼の居ない世界で生まれ変われるように
私はもう一生神様にお願いはしないからって
絶対に叶えて下さいってそれはしつこくお願いをしました」


三葉が曇空を見上げると雪がチラホラと降ってきた


また…雪だな…


「意識の戻る前に夢に姉さんと錆兎が出てきたんだ

2人とも俺によく頑張った…と幸せになっていいんだと言ってくれた
俺には待ってる人がいるだろうと…


竜胆の花言葉…勝利と正義…あと1つの意味を炭治郎が教えてくれた」



三葉が言わなかった「思い」の方の意味を…


『かなしんでいるあなたを愛す』


「俺はもう大丈夫だ…三葉…過去の自分を卑下したりしない…」


三葉の目からはポロポロと涙がこぼれ頬を濡らしていた


「痣者の事は聞いているか?」


「はい…兄様に聞きました」


「俺は上弦の参との戦闘で痣が出た」


ひゅっ と三葉が息を飲んだ


『男なら逃げるな!生きる覚悟を決めろ!男になれ!』

錆兎の激が耳に聞こえ心を震わせる


泣いてる三葉を抱き寄せて、涙で濡れて冷たくなっている頬に顔を寄せる


「三葉の側にいたい…ずっと変わらず愛している…」


言葉の響きが三葉の脳内を甘く痺れさせ冨岡の背中に両手を回して力一杯に抱きついた



「私も愛してます…今すぐにおよ…」


お嫁さんになりたい!と言いそうになった三葉の口を冨岡の手が塞いだ



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