第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
また冨岡が目を開くと懐かしい兄弟弟子が立っていた
「錆兎…選別の日…俺は錆兎に守られて…俺は…」
ずっと錆兎にききたかった…守られて生き残った情けない俺は…
鬼殺隊士としてちゃんと出来てただろうか…恥じぬ戦いを最後まで…
膝をつき俯く冨岡に錆兎は近づき頭をポカリと殴った
「義勇…男だろ!男に産まれたなら前を向け!お前の両足と左手はこんな所で立ち止まる為に残ったのか?」
嗚咽する冨岡の頭を今度は優しく撫でる
「お前は俺達の…兄弟弟子達の誇りだ」
冨岡が顔を上げた先には錆兎と…頭に斜めに狐の面をつけた少女…その後ろには沢山の狐面の少年と少女がいた
錆兎の肩には2つに割れた狐面がぶら下がっている
「俺の面を割ったのは炭治郎だけだ…お前ですら俺の面に当てる事は出来なかったのにな…
義勇ありがとう…よくやった!炭治郎をちゃんと守ったな…」
「うん…ちゃんと出来てたよ…死ぬほど頑張っていたのも知ってる…だから守れた…最後までちゃんとね」
少女は真菰と名のり 袖で冨岡の涙を拭いてくれた
「ほら…まだ終わってないよ…待っている人がいる…ねぇ錆兎…」
「あぁ…ずっと義勇を待っている人がいる…男なら逃げるな生きる覚悟を決めろ!」
錆兎が肘から無くなった右腕を叩く
「っ…!!」
冨岡が痛みで顔を歪め、それを見た2人は笑い手を振る
「まだ此方に来るには早いよ…」
「男になれ義勇!」
霞が深くなりみんなの姿が霞んでいく
「ありがとう!錆兎!真菰!みんな!ありがとう!」
冨岡が叫ぶと…錆兎が手を上げた
「遠い未来に…俺達はまた逢える…」
そう錆兎は言って霞の奥に消えていった