• テキストサイズ

かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】




「奥に来い!」


そう言われてビクビクしながら隊服を手に不死川の自室に案内される

襖を閉め振り向いた不死川はいつも三葉に見せる穏やかな顔だった


「悪かったな…あいつらには気の緩んだ所は見せたくねぇ」


「…そうだったんですね…久々に怖かったです」



三葉は苦笑いをして隊服を渡し竜胆に込めた思いも話した


台所を借りた三葉は不死川の為に抹茶をたてる
それと土産に持ってきたつぶ餡のおはぎを皿に乗せて部屋に戻ると

持ってきた隊服に着替えた不死川が「これでいつでも戦いに挑めるな」と三葉に笑って言った


「おっ 抹茶か…」

以前、不死川の屋敷を訪ねた時に不器用に抹茶をたてるのを見て
茶道の心得がある三葉が代わりたてて
その抹茶を飲んだ不死川が「うめぇ…」と言いおかわりをした
その笑顔を見てから毎回屋敷に行くと三葉は抹茶を不死川の為に入れている


おはぎと抹茶で少しの休憩をして
台所で後片付けをする三葉に

「また…たのむわ」と言う不死川に三葉も「はい」と返事して笑う…

「さて…続きしてくるか」

そう言って勝手口を出ていく不死川の体から殺気が出て空気がガラリと変わり三葉はまた震えた











「冨岡も稽古に参加したらしいぞ…」



宇随が三葉に話し聞いた三葉は気になってそわそわと落ちつかない

数日後…宇随が教えてくれた風屋敷近くの竹林にのぞきに来てみた


「…?」


羽織を脱いだ冨岡の隣に…炭治郎が眠っていた


三葉に気付いた冨岡が座る様に自分の隣をポンポンと叩いた


「不死川に殴られて炭治郎は気絶した」


「だ…大丈夫でしょうか?」


「悲鳴嶼さんまでの柱稽古を通過したんだから大丈夫だろう」


顔を見ると気絶…というよりは疲れがでて寝ているようなどこかあどけない寝顔だった




「炭治郎と三葉のおかげだ…ありがとう」


冨岡は柱を名乗る事、好きな女と幸せな時間を持つ事も資格が無いと思っていた

人から守られてばかりの自分は、ひたすらに鍛練を積み重ねる事しか出来ないと…

守ってくれた人の思いを繋げる事を思い出させてくれた炭治郎と

冨岡が初めて命を懸け守った炭治郎が宇随の命を繋げた事を教えてくれた三葉に冨岡は感謝していた

その感謝を伝えたのだが…気持ちを伝えるのが下手な冨岡だった



/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp