第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
柱達の隊服係になって2年は過ぎた…が、毎度の事ながら柱の人達の回復力にいつも三葉は驚かされる
数ヶ月前に左目と左腕を失った宇随が竹刀片手に柱稽古のに来た隊士達を大声でまくし立て
走り込み途中でバテてる人を追いかけ煽る姿に
兄様の腕…そのうちはえてくるんじゃないかな?
少しだけ本気で思った
鬼の出現が減って大きな戦いが始まる…その準備を始める事に鬼殺隊全体が動き出し
三葉も甘露寺以外の柱の隊服の修理や改良に追われて忙しい毎日だったが隊服の直しは昨日でほぼ終了した
「三葉!」
まきを に呼ばれ竹筒の沢山入った背負子籠を背負う
柱稽古の初めが宇随の基礎体力向上訓練なので今が1番忙しい
なので合格者がある程度出るまで三葉も柱稽古の手伝いに駆り出されていた
走り込みのコースに屍のように転がっている隊士に、檸檬汁と塩と砂糖を入れた宇随家特製の檸檬水を入れた竹筒を渡してまわるのが三葉の仕事だった
動きやすいように蝶屋敷の3人娘のような洋装で籠を背負い
「ご苦労様です、檸檬水飲んで頑張ってくださいね」
小町娘と評判だった三葉が倒れた隊士の汗を手拭いでふき笑顔で竹筒を渡す…
「地獄の走り込み訓練の檸檬水女神」だと初日からさっそく注目を浴びていた
ちなみに嫁達はお握りの女神と呼ばれていた
宇随達と遊廓で共に戦った我妻と嘴平が来た時はいつも以上に笑顔全開で世話をしたら
我妻が必要性以上に長居をしたがり手を抜いてわざと倒れたりして三葉の世話になっていた
初めは仕方のない奴だと呆れながらも許していた宇随だが5日過ぎても本気を出さない我妻に怒った宇随が鍛練コースを5周ほぼ全力で追い回し、その追撃を必死に逃げ切った我妻は
「卒業だ!次に行け!」と宇随に叩き出された
悲しそうに次に向かう我妻に竹筒を渡して三葉は手を振りながら見送る
「兄様…炭治郎くんはまだかな?」
「あいつはまた骨折したらしいから もう少ししないと胡蝶が許可しないだろうな」
5周も追い掛け回した宇随が息も切らさずに答える
「善逸くんも息切れしてなかったね」
「そこら辺の隊士達より派手に強いからな…柱側に近いぞ…あの3人はな」
宇随は三葉の籠の中から竹筒を取り檸檬水を飲みながら笑って言った