第1章 歩く姿は… 【不死川 実弥】
普段から夜に巡回し鬼と戦うのだから、俺はいつも通りなんだが、三冬は体力の消耗と寝不足で昼近くになっても起き上がれないでいた
その原因は三冬が気絶するまで抱いてしまったから俺が悪い
大事にすると口にした舌の根も乾かぬうちにと反省しつつ店にたどり着いた
甘露寺が女の物を買うならたしかここだった
入る前から絶対に俺はこの店内では浮く事だけは分かる、外でもたもたしても仕方がないんでのれんをくぐった
たしか湯殿に入れるっていってたな…
種類がありすぎて、香りを嗅ぐも甘い香りにくしゃみが出そうになる
色々嗅ぎすぎて頭が割れそうになった頃スッキリとした後にやさしい甘さの香袋があった
夜明けがきて屋敷に戻ると三冬はいつも玄関を掃き清めて朝日を拝んでいた、俺に気付くと
「お疲れ様でした!ご無事でよかっです。お風呂はいつでも入れますよ」と声をかける
拝む前の、背すじを伸ばし凛とした佇まいで朝日を眺める姿と振り向き俺をみて笑顔になる三冬の姿と香が重なった
同じ匂いの香袋を何個か取ると背後から嫌な気配がした
「はっ! お前から素人女の匂いがするとはど派手に驚いたぜ」
「……」
「なに地味に恥ずかしがってんだ、相手は三冬だろ?」
「てめぇはなんでいんだよ!」
一晩中抱いて寝てたから匂いが移ったのは分かるが…なんで三冬ってバレてんだ、しかも呼びすてにしやがって!
「俺は愛妻家だからな、色んな事を頑張ってる嫁さんに時々ご褒美をやるんだよ」
「そうだ!三冬にこれを使わせてみろ」
宇髄が懐からいい香りのする香袋を出し俺の袂に入れた
「これはくの一が使う香袋だ、これを普段から膣に入れておくと、いい具合に濡れて香りが沸き立って派手に朝までたのしめるぜ」
「てめえは普段からこんなもん懐にいれてんのか!」
こんなもん無くても三冬は溶けそうな位だし!甘いんだよ!
「なんでお前好みの匂いなんか…三冬にはちゃんと俺が選んだのを渡す」
宇髄に背をむけて店員に商品を渡し支払いを済ませた
宇髄は不死川が選んだ香袋を手に取り頬笑む
「百合の花の香ね…不死川に三冬はこんな風に見えてるんだな…ククッ…俺の選んだ香ね…あいつ大分のぼせてやがる」