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かわいいひと

第1章  歩く姿は… 【不死川 実弥】




屋敷に帰ると褥は片付けられて、台所もなにかしらの準備をおえていた

屋敷には三冬の気配はなく、道場の方から薬草を擂り潰す音が聞こえてきた

そういえば薬草の調合を頼まれていたな


帰り道で買ってきたこしあん団子を皿に盛り、少し苦めに入れたお茶を盆に入れて持っていく

さっきの店で香袋を嗅ぎすぎたせいで鼻が鈍いな薬草の臭いもわかんねぇ


「三冬、団子買ってきたから一緒に喰おうぜ…」


虫も殺さぬ笑顔の胡蝶が…いた


「三冬さん…この人は私の知ってる風柱でしょうか?」

「はい?いつもの風柱様です」


「あら別人かと思いました、それではこちらの追加の分は直接甘露寺さんの所に届けて下さいね。それでは私はこれで失礼しますね」


「分かりました出来上がり次第お届けします」


「三冬さんお見送りはいいですよ、その代わり不死川さんちょっとよろしいでしょうか?すぐ済みますので」


三冬の近くにお盆を置き、胡蝶を玄関まで送る



「約束覚えますよね?考え付くかぎりですよ」


「大事にするよ…三冬は特別だから」





道場に戻ると三冬は庭に下りて梅の木を見上げていた、近づく俺に気づき


「梅が一輪咲いてます」


と言ってあの笑顔を向ける


鼻先に店で嗅いだ香袋の香りがかすめた気がした


三冬をそっと抱きしめ匂いを嗅いだ

「あぁ…そうだな大事にしたいな」


「ん?実弥様からいい匂いがします」

クンクンと匂いを辿り袂を握る


!ーー宇髄の野郎ーー!


仕方なく袂から宇髄が入れた香袋を取り出す


「宇髄が勝手に入れたんだくノ一が使う特別な使い方の香袋らしい…」


「俺からも…湯殿に入れて使うやつ、俺の気に入った香りを買って来たから、だから使うならそっちにしてくれ」


胸元に抱きつき「もちろんです」と嬉しそうに笑う


「くノ一の特別な香袋ですか…」



「…興味があるなら嫁さんに聞いて、使うかは三冬が決めな」


俺の歯切れの悪さに不思議そうな顔をして「今度聞いてみますね」と答えた


聞いた三冬はどんな反応をするんだろうな…




よし!団子喰おうぜ、三冬の手を引き道場へ戻る



二人でまだ一輪しか咲いてない梅の花を見ながら食べた団子は味も香りもいつもより甘く感じた




ー終ー
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