• テキストサイズ

かわいいひと

第1章  歩く姿は… 【不死川 実弥】



【不死川実弥 側】



血の臭いが濃くなった

「一人分の量じゃねぇな…くそっ!」

一段と速度を上げ広い庭先にたどり着くと子供の頭を手に下げた鬼が女の肩に鬼が噛みついていた






「おい!大丈夫か?」

鬼の毒を吸い上げ吐き出してやるも、体を巡りはじめ噛まれた跡が赤黒くなった

両手には鬼が灰になる時に落とした子供の頭を抱え「小太郎…ごめんなさい」と何度も呟き泣いていた




「こっちが当たりでしたね不死川さん」


一緒に着ていた胡蝶が音も無く舞い降りてきた

「毒にやられてる」


「まぁまぁそれは大変です…」

呑気に言うも傷口と症状を確認して薬を調合して女の首に注射する

肌の変化が止まり、呼吸が落ちつき始めた
腕っぷしは強くないが、身軽さと薬学の知識と判断力はさすがだな

「お嬢さん、それを離して下さい」

ポロポロと泣きながら小太郎という名前の首を離そうとせず抱きしめていた


こいつの子供か?


「おい…もう死んだんだ、この暑さだ、そのままにしてたら傷むだろ俺が弔ってやるから離せ」

胡蝶が驚いた顔で俺を見てたが、気にせずに片膝を付いて頭を両手で受け取った

「弟は寂しがり屋だから父さんと母さんと一緒にして下さい」

「分かった必ず一緒に弔う」

頭をガシガシと撫で「だから安心しな」と、答えるとニッコリと微笑み気を失った


「あの娘達からは聞いてましたが本当は優しい方なのですね、驚きです」

「俺は弔い済ませて帰るから」

「はい、ごきげんよう」










あの日鬼の毒が回りだしてからの記憶はな無くなっていると聞いてたから、蝶屋敷で初めて会った時に「どなたですか?」と言われたのも仕方ないと割りきった


下弦の陸との戦いで大量の怪我人が出て、懸命に笑顔で隊士を励まし世話をする姿を見て勝手に安心していた

裏口から蝶屋敷に入ると、植え込みの影で膝を抱え声を殺し泣いているのを見かける事が何度かあった

まだ立ち直れてない事に気付いて、何かして上げれる事をと考えたが、結局答えはなくそのまま見守る事にした


それから不思議と町を歩いてても、彼女がいるとすぐに見付けるようになった


働き者で下の娘に優しくよく笑う、影で泣きながら頑張っている彼女を好きになってた


/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp