第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
また…1人居なくなってしまった
故人に思いを寄せたい時ですら鬼は現れ人を襲う…
煉獄が居なくなった事で残された柱達は忙しい日々を送っていた
そんなある日宇随から蝶屋敷に行けと三葉は言われた
3人の嫁は遊廓で働きながら吉原の裏を探り、宇随は吉原近くの藤の家紋の屋敷で吉原を表から探る
「長くなるだろうからその間蝶屋敷で待っていろ」
1人でも大丈夫だと思ったが
家族に対して心配症の宇随が任務に集中できる様に三葉は素直に頷いた
この日は冨岡の隊服の修理と下に着るシャツを新調して今の担当の隠に届けて蝶屋敷に帰えると
胡蝶の大切な少女達が泣いていた
理由を聞けば宇随に連れ去られそうになったアオイ達の代わりに炭治郎達を連れて吉原へと向かった言った
何が…起こっているの?
以前の三葉なら「兄様なら大丈夫」と強い気持ちでいれたのだが
鬼殺隊最高位の柱の中で宇随が認め実力をもった炎柱の死によって今の三葉はたまらなく不安になる
その日から毎日昼は長い階段を登った先にある神社に三葉は吉原任務に向かった全員の無事を祈り夜は月に祈っていた
今日も寝る前に庭に出て月を見上げ合掌をして祈っていると胡蝶の鴉があわただしく帰ってくる
「音柱、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助上弦の陸との戦闘開始!」
静かな空気の澄んだ夜だった…
鴉の声がよく響いてきて三葉の耳にも報告が聞こえ三葉は部屋に戻り白い浴衣を風呂敷に包み静かに蝶屋敷を出ていった
その頃胡蝶は戦闘が始まった事を三葉に伝えるか悩んでいた
宇随が炭治郎達を連れていってからは毎日朝も夜も無事を祈る三葉の姿をみている
始めは父親を次は母親をそして兄を無くし1人になった三葉に出来た新しい家族が又居なくなるかもしれない事実を三葉は受け止められるのか…
「でも…黙っている訳にはいけないですね」
しばらくして胡蝶が三葉が使っている部屋を訪ねると「神社に行ってきます」と書き置きがあった
迎えに行くにも上弦との戦闘が始まった今は怪我人がいつ運ばれるかわからない為屋敷を離れる事は出来ない
カナヲも今日は任務で居なかった
悩んでいると冨岡が別の任務で怪我をした隊士を2人担いで蝶屋敷に現れた
「冨岡さん…お願いがあります」
胡蝶は戦闘が始まった事を話し三葉の迎えを冨岡に頼んだ