• テキストサイズ

かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】




「三葉ちゃんお帰りなさい」


勝手口から帰ってきた三葉を迎えてくれたのは雛鶴だった


「ただいま雛姉様…ちょっと遅くなりました」

空は茜色に染まっている


三葉の手の酒瓶に気付いて近づき受け取った


……!!


「あっ…こっ…これ天元様の好きなお酒ね!もう春の蔵出しの時期なのね…三葉ちゃんありがとう

でもね天元様急に呼び出されて2人を連れて任務に行ったのよ…
ふふふっ…天元様が出発前にこのお酒を見てたら盛大にごねながら任務に向かっていたわね」



正直な所三葉は宇随がいない事にホッとした



「うん…目に浮かぶね」


酒瓶を受け取る際に三葉に近づいてすぐに雛鶴は気付いた


里でも優秀な くノ一 だった雛鶴は家柄と実力で宇随の嫁に選ばれた女

冨岡が三葉に溺れ離してくれなかった為に体には冨岡と交わった匂いが僅かに残っている


それに気付かない雛鶴ではない


風呂敷を抱えて家に上がる仕草や歩く腰つきで「疑念」が「確信」に変わった



三葉ちゃんが…大人になった…


男の匂いはするのだが雛鶴は誰かまでは分からなかった



「ご飯はもう少しで出来るから先にお風呂に入ってね…」


部屋へと向かいながら「はぁい」と返事をする明るい声に雛鶴はホッとした


良かった…三葉ちゃんの初めてはいい経験だったのね…



今日は天元様が居なくて本当に良かった…帰ったらすぐに報告して騒がないように釘を刺さないと…






任務から帰ってきた天元と2人に雛鶴はそっと報告をした


予想した通り宇随が騒ぎそうになるのをなだめて

「三葉は普通の女の子だから気付かない振りをしましょう」と言う雛鶴の提案をしぶしぶ受け入れた




が、すぐに宇随は三葉に付けているムキムキネズミに聞き出して相手は冨岡だと突き止めていた

その翌日の水柱の屋敷の道場で






「冨岡…俺が来た理由は派手にわかってんな?」



「あぁ…三葉は俺が守る…」


いつも通りの短い返事だったが宇随の出す本気の殺気にも眉1つ動かす事もなく鼓動も安定したまま受け止めた冨岡に宇随は何も言わず立ち去った



地味で陰気な奴だが…目が良かった…


身長や体格の差があるも宇随を受け止め見返してきた目の強さを信じる事にした



それからの2人は静かに逢瀬をかさね愛を育んでいた



/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp