第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
三葉の顎に触れて顔を上げ口付ける、舌で唇をなぞりくすぐると三葉は唇を薄く開いた
口内を舌で味わい奥で震える三葉の舌を絡めとる
冨岡の舌に翻弄され、鼻での呼吸では足りなくなり三葉の息があがり冨岡が唇を離す
赤く逆上せた頬、潤んで揺れる瞳、酸素を求めて開いた唇は濡れて端から唾液がこぼれていた
三葉のまとう桜の香りが濃くなる
桜の匂いと三葉の初めて見せる女の顔に冨岡の理性がくらりと揺らぐ
組紐をほどくとはらりと髪がほどけて三葉の香りが揺れる
再び口付けながら三葉を倒し覆い被さるように見つめた
三葉は うぶ だが何も知らない訳ではない、宇随と3人の嫁と過ごして3年にはなる
元々仲のいい夫婦なので、三葉の目の前でもじゃれ合いながら軽い口付け程度は何度も見てきているし、宇随は三葉をよく抱きしめて愛情を伝えてくれる
ただ冨岡が抱きしめている行為は宇随のそれとは違うのも分かっているし、冨岡が自分に欲情しているのも分かっていた
そして…冨岡が向ける欲が嫌ではない
冨岡の手が三葉の首筋をなぞる
「…っ……」
体がびくりと反応すると首筋に痛みが走る
冨岡が三葉の白い首筋を痛みをともなうくらい吸い上げて赤い痣を作った
「三葉…いいか?」
冨岡は聞きはしたが返事を待たずに三葉の帯に手をかける
一連の流れが三葉には手慣れているように感じモヤモヤとした感情が生まれる
帯をほどき腹部が緩み袷に手をかけた冨岡の手を三葉が握った
「冨岡さんは…いたのですか?」
「何がだ?」
冨岡は素直に手を止めて三葉の問いかけを聞く
「神社の時も髪をとかし結ぶ手つきが慣れている気がして……私…不安なんです」
雪の日の痩せて艶のない髪と肌が少年の様だった三葉に、深い愛情を浴びるように注ぎ育てた宇随が驚くほど三葉は可愛らしく成長していた
艶やかな黒髪に黒色の切れ長の目をしていて、少しタレ気味だから冷たい印象はなく笑うとさらに目尻が下がり可愛らしかった
少し体重も増えて女性らしく丸みもキチンとある体、栄養も取れて血色も良くなり唇は紅をひかなくても薄い桃色をしていて白い肌を引き立たせていた
それに宇随が着物や小物やらを買い着飾らせていたので三葉はどこぞの小町娘と呼ばれ若い男の視線をさらっていた