第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
「伊黒」の名前を宇随が口にした途端に三葉が明らかにソワソワしだす
そんな三葉を宇随は笑顔で眺め、胡蝶と冨岡は訝しげに眺める
「伊黒と何かあったのか?」
冨岡が少しピりついて聞いた、ちなみに胡蝶も無言だったが同じような顔で三葉を見つめる
2人の柱から見つめられ三葉は仕方なく、何故神社にいたのかを話した
「三葉さんがあんな隊服作る訳がないでしょう!まったくあの人は……そうですね…傷薬に薄荷でも混ぜてやりましょう」
しのぶ は楽しそうに笑い、冨岡は何も言わない
嫁達が心配してるからと宇随は三葉を抱えた
「冨岡さんありがとうございました
兄様、また冨岡さんに助けてもらいました…」
さすがに初めて口付けをされた事は言えないが、思い出して顔が熱くなりそうだった
宇随は耳がいいし感も鋭い…三葉が冨岡と目を合わせたら、三葉から聞こえる心音と声色が変わり、冨岡はちょっと緊張している…三葉と冨岡に何かあった事は分かった
宇随から見た冨岡は『地味で辛気臭い奴』だったから、まさか手を出した(告白は三葉には理解してもらえてない)とは思ってはいない
「そだったな…三葉の家族として礼を言う。冨岡ありがとう」
「あぁ…三葉は家族みたいな感じだ」
「…そうか」
「三葉さんの体調が悪くなったらいつでも来て下さい」
「あぁ…胡蝶もありがとな」
「しのぶちゃん、冨岡さんありがとうございました」
宇随は三葉を抱えて屋敷に帰っていき、それを見送った冨岡も任務へ行った
宇随さんは分かりますけど、冨岡さんも三葉さんが大事なのですね…
任務があったなら、三葉を蝶屋敷に連れて来て胡蝶に預けた時点で冨岡の出来る事は何もなかった
それでも心配で三葉の側に残っていた冨岡の姿を しのぶ は思い出す
「興味深いですね…」
そう呟いて笑った