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かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】






少し段差の高い石階段を300段登ると無人だが立派な神社ある
誰かが管理をしているらしく、普段はあまり人も来ない神社なのだがいつ来ても綺麗だった

三葉はそこでおもいっきり泣いて気持ちをスッキリさせようと長い階段をゆっくりと登っていく


桜も散り花の季節はツツジが綺麗な頃になっていて、階段を登った先の参道の両脇には赤紫色、桃色、白の3色のツツジが咲いていた


「綺麗…今度は兄様と姉様とで花見に来ようかな…」


花を見て少し気持ちが凪いだせいか、ホッとしてまた涙が落ちた

神社に賽銭を入れて「少しお邪魔します」と、つぶやきブーツを脱いで御堂の中に入ると、今日は誰か来たようで少し蝋燭の溶けた匂いがした




三葉が隊服を作る様になって、不死川が柱となりカナエは殉職した
その後しのぶが柱になり当時の炎柱の長男の杏寿郎が柱になり伊黒が柱になった


初めて伊黒の屋敷を訪れた三葉は伊黒の人を寄せ付けない雰囲気が不死川に似ていると思った
それを補うかのように鏑丸は三葉を見ると嬉しそうに体を伸ばして三葉の頬に口付けをして舌でチロチロと舐める


初めての挨拶にビックリはしたが鏑丸の赤い目が蛇なのに笑って見えて怖くはなかった


「鏑丸がそう言うなら…お前を信用してやってもいい」

そんな事を言われた日を思い出す

たぶん誤解はすぐに解けると思っているのだが、だとしても、三葉の言い分も聞かずに突き放された事が腹立たしく悔しい



ひとしきり泣いて気持ちはスッキリしたのだが泣きすぎて両目が赤く腫れている

袂から小さな鏡を出すと、なんとも不細工な顔になっていて笑った

「もう少しここにお邪魔します」そう心でつぶやいて

行儀わるく御堂の板間に仰向けになり、突き返された隊服の入った風呂敷をお腹の上に置いた

早く寄越せって言うから…ここ3日ばかり寝不足だった三葉は泣き疲れもありそのまま目を閉じて眠ってしまった

















「三葉が帰ってない?」


夕方になり宇随の屋敷ではちょっとした騒ぎになっていた

鬼殺隊の里とはいえ鬼が絶対にでないとは限らない

宇随は三葉には必ず日暮れまでには家りに帰る事、それが無理な時は鬼よけの藤の花の匂袋を持つよう約束をさせている

今までその約束を破った事のない三葉が帰ってこなかった


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