第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】
凄まじい殺気を放つ宇随と冨岡に前田が殺されると思った三葉は
冨岡から渡された羽織を着る間もなく2人の前に飛びだして両手を広げ前田をかばう
「兄様!冨岡さん!殴ってはダメです!隊律違反になります!
ちょっとびっくりしたんです…おかしいな…とは思いながら着てみたんですが…こんな隊服だとは…鏡を見て恥ずかしくて…えっと……前田さんは…隊服の確認をしたいっ…て…でも恥ずかしくて…」
勢いで2人の前に立ったが、急に恥ずかしさで真っ赤になり俯く三葉の頭に宇随はポンと大きな手を置く
「ド派手に似合うな!」と言って笑った
宇随の笑い声に三葉が顔を上げ顔を見ると、前田を殴った時の殺気が消えていつもの兄様の顔をした宇随がいてホッとする
「毎日見てると分からなかったがお前はいい女になるな!ちょっと露出がすぎるが…そんな服も派手に決めていいじゃねぇか?なぁ…冨岡!」
宇随と三葉の2人が見ると冨岡の顔はポンと赤く染まり
「俺には…刺激が強い…着てくれ」
三葉から目を反らしてまた羽織を渡す
それを着た三葉を見て何故かまた冨岡は耳まで赤くした
冨岡は本来の目的であった、新しい隊服を三葉から受け取り
「冨岡さん、おめでとうございます!心をこめて作りました…改善する所があれば言って下さい」
あの日に助けてくれた冨岡の柱就任の隊服だと知って
三葉が先輩達に自分が作りたいと言って仕上げた物だった
それを受け取り冨岡は真っ赤な顔のまま縫製部の屋敷をでていった
入れ替わりで縫製部門の隠らが帰ってきて、試着室の壊れた壁と気絶した前田、三葉のあの隊服姿と宇随を見て何があったかは察しがついたらしく
「前田が悪い」
と全員の意見は一致して、宇随の隊律違反は隊員同士のケンカではなく
兄が妹を守った…という事になった
その日の夜…
柱になることが決まり、前任の水柱が使っていた屋敷が冨岡に与えられた
その広い屋敷の寝室で冨岡は何度も寝返りを繰り返す
目を閉じると小さい子供のあの冷たくてガリガリだった感触を思い出す
でも今、頭に浮かぶのは今日のあの隊服を着た三葉の姿だった
体にぴったりだった服は三葉の胸の膨らみと柔らかさを、ウエストから腰にかけてのラインをしっかり強調していたし、艶やかな肌が綺麗だった