• テキストサイズ

かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】





それを嬉しそうに笑顔で受ける三葉はたしかに雪山で見た時とは別人のようになっている


紺色の男物の着物を着ていたのも多少はあるのだが
あの日三葉を見た全員が三葉の下半身を見るまでは男の子だと思っていた

(宇随は浴衣に着替えさせた時に気付いている)


後から13歳と聞いて体の小ささにみんなが驚く事にもなる

栄養失調の状態が長かった為に成長が遅れているだけだろうとカナエは推測した
実際、蝶屋敷で生活をするようになり食事もしっかり食べさせると体つきが少しずつ女の子らしくなり

窪んでいた顔も少しふっくらとしてクリクリとした黒い瞳の可愛らしい少女に変化して
今の三葉があの日の着物を着ても女の子だと分かるくらいにはなっていた

それでもまだ身長も140位しかなく体重も30キロにやっとなった所でまだまだ健康体とまではなっていない


それでも、今日の三葉を見ると宇随は心底ホッとした


意識が戻ってから彼女の状況、今いる鬼殺隊の里の事をカナエと宇随が三葉にしっかりと説明をしている


元は武家の娘で父方の親戚に鬼殺隊の者もいたらしく、三葉は鬼と鬼殺隊の事は知っていた

明治末期に生家は没落し父親が亡くなり、母方の親戚の家に世話になっていたが母親も亡くなると邪魔者になった2人はその親戚からも捨てられていた




「身寄りが無いのなら俺の屋敷に家族として一緒に住まないか?」



三葉が感情をなくしたかの様な無表情でポツリポツリと身の上話を語り終わると
宇随は三葉の頭を撫でて優しく言った


でもその時の三葉は宇随の言葉も手の温もりも届いていないようでただぼんやりと天井を見ているだけだった…


それから宇随は任務の合間に3人の嫁を引き連れて三葉の元へと何度も通い、三葉の心に触れて優しく寄り添っていた

三葉にも変化が現れ蝶屋敷の面々にも笑顔を見せるようになる


宇随の事を兄様と呼び嫁達をそれぞれ雛姉様まき姉様須磨姉様と呼ぶようにまで宇随と嫁達は三葉に愛情を注いだ

実際に御館様の力も借りて戸籍上も三葉は宇随の妹になった


(しのぶが年頃になった三葉を宇随は嫁にするつもりなのでは?と心配していた事を知った宇随の配慮でもある)

そんな日々を重ねやっと今日、三葉は宇随の屋敷へと帰る



/ 396ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp