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かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】




振り向いた宇随が笑い、その顔を主人は見て笑顔をかえす


「ありがとうございます」

主人は一言お礼を言ってから部屋を出ていった



湯浴みから戻った冨岡に、子供はカナエの屋敷に連れて帰るように伝えて任務へと出て行く







雪山で倒れていた子供を冨岡が見つけて2人で助けた。冨岡が蝶屋敷に連れて行く、左足の親指は凍傷でダメかもしれないが最善の処置をしてくれ、その子は俺が引き取るそのつもりで頼む

宇随天元






外に出て鎹鴉の足にさっき書いた同じような内容の手紙を2つ結び
1つは蝶屋敷に、1つは嫁達に届けるように指示をして宇随は鎹鴉とは別の方向へと風のように走りさった
















それから3ヶ月後




「三葉(みつは)さん迎えが来たわよ~♪」


胡蝶カナエの声で蝶屋敷の食堂でソワソワしていた三葉が立ち上がり体のバランスを崩した
隣に座っていたカナエの妹の しのぶが慌てて体を支える、その弾みで湯呑みがカシャンと音を立てた



「三葉!少しはじっとしてなさい」

少し零れたお茶を拭きながらしのぶに怒られてしまう…そのくらい普段の三葉とは違い落ち着きがない





左足の親指は残念ながら残す事はできなかった
たかが親指だと三葉は思っていたがされど親指
立つ、歩くには指の力がこんなにも重要だとたのかと思うほど三葉は苦労した

元々が栄養失調状態で筋力もないから今もふらついてしまっている


「しのぶちゃん…ありがとう」

艶の全くなかった髪も しのぶが毎日椿油を塗り込んだ櫛で手入れをしたおかげでペコリと頭を下げるとサラサラと流れるように動いた




「三葉!迎えに来たぜ!」

長身の着流し姿が艶やかな宇随が食堂に身を屈めながら入ってくる



最近音柱になった宇随は忙しく三葉と会うのは実に2週間ぶりだった



この日の為に宇随は事前に三葉へ着物と袴とブーツを買っていた



薄い桃色の生地に若草色を中心とした花手鞠柄の着物に深緑色の袴に茶色のブーツを履いている

薄い桃色の着物の衿からは、カナエから送られた赤い半襟がちらりとのぞいていて色白の三葉の肌によく似合っていた




「13歳でも女は怖いなぁ…ちょっと見ない間にド派手に可愛くなってやがんな」


宇随が三葉の頭をガシガシと撫でる


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