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かわいいひと

第11章 雪の日に始まる【冨岡 義勇】




濡れた着物を脱がしその裸体を眺めた


艶の全く無いパサパサの髪、くぼんだ瞼、痩せて脂肪も筋肉も少ない体


「絶対に死ぬなよ」


子供に浴衣を着せ布団に寝かせる宇随は下着だけになり布団に潜り冷たい体を抱きしめて温めた





暫くすると風呂と食事をすませた冨岡が部屋に入ってきた



「大丈夫そうか?」


「どうだろうな…こんな痩せた体だ」


冨岡も心配そうに子供の頭に手を置いた


「俺が温めるからお前は少し寝ろ」


「すまない…2時間したら代わる」

布団に入ってすぐに寝息が聞こえてくる


それから2人で交代して温めた








夕方頃には顔色も大分に良くなってきて


「呼吸も心臓の音も派手に安定してきたぜ」


外から帰宅した冨岡に子供を抱きしめたままの宇随が声をかけた

冨岡は助けた子供の家族を探しに山へと入っていた
いつもの無表情の冨岡だが深くため息をついたので宇随はいい結果ではない事は分かった


火鉢の上にある鉄瓶から湯呑みに白湯を注ぎ、飲む冨岡をじっと見て話し始めるのを待つ

子供を見つけた近くに家がありその中はひどい有様だった…獣の臭いがしたので鬼ではなく熊に襲われたらしい
二間しかない小さな家の中にもう1人の子供の遺体があって熊に喰われていた


「おそらく兄が弟を逃がして犠牲になったんだろう…亡骸は埋めてきた」




また1つため息を吐いて冨岡は湯浴みに向かう

宇随は子供の手を見て指先まで肌の色が戻っている事に安心した

ただ左足の親指だけが赤黒いままだった


「この指はダメだな…お前…俺の家族になるか?ド派手な可愛いい嫁が3人いるんだ寂しくねぇぞ」


まだ目の覚めていない子供から返事はなかったが、不思議と鼓動が力強く打ちだす

「そっか…お前頑張れよ」




「宇随様…」




主人が湯たんぽのお湯を入れ替えて戻ってきた

宇随は布団から出て隊服へと着替える

主人はその間に子供の湯たんぽを交換した


「助かりそうですね…ありがとうございます」

体温の戻った子供を見て主人はホッとした顔して子供の頭を撫でた


「こいつは鬼殺隊の里に連れて行く」


「我が屋敷で世話をしてもかまいませんが?」


「一晩抱いていたら情が移ってな…」









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