第10章 happybirthday【不死川実弥】
「さぁ!いただきましょう冨岡さんのおはぎは久しぶりですね!」
三冬は本当によく食べる。食べた物が身につかないのが不思議だ
今日もあれだけ食べたくせに、しっかりおはぎの事を覚えていて香りのいいお茶をいれて、いそいそとやってきた
その30分前
「冨岡さん大丈夫ですか?」
冨岡は宇随に早々に潰されて宴のほとんどを竈門の隣で寝ていた
竈門が一緒に連れて帰ると言ったのを三冬が「今日は家に泊めます」と言って座卓を角にやり布団を敷いていたら目を覚まして
「腹が空いた」と言いやがった…
まぁ…酒以外ほぼ余り口にしてなかったから仕方ないか
三冬は台所に行き重箱を持ってきて開けると、綺麗に今日のご馳走が詰まっていた…
「そう言うと思ってちょっとずつ取っておきましたよ…天元様に飲まされてご馳走を食べれなかったですもんね」
冨岡に箸と取り皿を渡し赤飯とちらし寿司も冨岡の前に出す
冨岡が行儀よく「いただきます」と言うと三冬が「はい召し上がれ」と言ってお茶を入れる為に台所へと行った
「せっかく来たのにほとんど寝てたな…」
話かけても返事も返さずに、口一杯にいれた赤飯を俺を見ながら噛んでいる
相変わらずなに考えてんのか分からねぇし…じーーと見ながら赤飯を噛む奴にムカついてくる
「相変わらずだな!話てんだろがぁ!返事ぐらいしろ!」
イラついて座卓を ドン! と拳で叩く
「あら…実弥さん怒ったらダメですよ冨岡さん食べてるんだから」
「あ"ぁ" ? 返事もしねぇ奴が悪い!」
「実弥さん…知らないんですか?冨岡さんは口に食べ物が入ってるうちは喋りませんよ?」
……はぁ?
「ただでさえ喋るのが苦手なのに、食べながらは余計に無理ですもんね?無理して話すと口からこぼれるんです……ね?」
「あぁ…そうだすまない不死川…」
やっと飲み込んだ冨岡が言う
なんか……すげぇ力が抜けた……
訓練したとはいえ、まだ左手では食べにくいようで三冬がスプーンとフォークを渡すと
「ありがとう」と受け取り再び食べ始めた