第10章 happybirthday【不死川実弥】
そして30分後
冨岡の腹が満たされた頃に三冬がおはぎを持ってきた
久しぶりの冨岡のおはぎは相変わらずでかくて俺の拳くらいある
「いつも言ってるが…これ二個分のでかさだぞ」
「…沢山食べて欲しいと」
「小さく作って数を増やせばいいだろが」
今…「あっ」 って顔しやがったな
「小さい方が食べやすいですが…片手だと小さく作りにくいですかね?」
「訓練するから問題ない…三冬は大丈夫か?」
冨岡の言葉に三冬を見ると眠たそにしてまばたきをした
「久しぶりの冨岡さんのおはぎですから、食べてから寝ますよ
明日まで我慢したら固くなるでしょ?」
そう言うと切り分けていたおはぎをパクリと口に入れた
一瞬動いていた口が止まり、冨岡の背中をポンポンとたたいた
たたかれた冨岡はムフフと気持ち悪い笑い声をあげる
「実弥さん早く食べて下さい!」
おはぎを飲み込んだ三冬が冨岡と並び俺を見てくる
二人に見つめられて食べにくいが口に入れた……
甘さもちょうどよく、あんこもしっとりとしてもち米によく絡む、そのもち米もうまく潰せていて……
冨岡を見るとどや顔でムフフと笑う
今日は素直になるのも悪くない日だったな…冨岡にこんな気持ちになる事はないかもしれないから今日は言葉にちゃんとしようと思った
「冨岡…お互い生きててよかったな…
俺達はしばらくは双子の世話とかで忙しくなるけどよ、それに狭霧山からは少し遠いかもしれねぇけど……たまには三冬と双子に会いにこいよ…おはぎも持ってきてさ
そして泊まって帰れよ…」
「実弥さん……」
冨岡と三冬が手を握り合って喜んでいる
ちょっと距離が近すぎねぇか?とも思うが今日は許す事にした
「おはぎ…おかわりくれよ」
「はい!」
「あぁ…」
二人が同時に返事をかえして、また笑い合う
三冬が台所におはぎを取りに行き
冨岡がそれを見送り、振り返った
「次も…作ってくる…ありがとう」
「あぁ…美味しかったぜ」
冨岡は素直な俺の言葉を聞いて、少し俯いて嬉しそうに笑った
その姿を少しだけ可愛らしく思った事は絶対に秘密にしようと思った
ー祝宴の話 終 ー