第10章 happybirthday【不死川実弥】
それから宇随は竈門と一緒に町に買い出しに行った
「後はまかせてくださいませ!」
嫁さん達に背中を押されて三冬の眠る寝室へとさがった
「ふふっ…実弥さん追い出されましたか?」
ちょうど厠にいった三冬と廊下であった
手にはいい香りのする熱いお茶と、おにぎりがのったお盆をもっていた
「喉が乾いたから台所に寄ったんです、そしたら禰豆子ちゃんがいて実弥さんとゆっくり休んで下さいって」
挨拶に行こうとしたが、禰豆子が「もう少し休んでからにした方がいい絶対長くなるから」と言って
家から持ってきたおにぎりとお茶の乗った盆を渡されたらしい
三冬も俺も昨日の晩から何も食べてない事に気付いたら…急に腹が空いてきて
二人で差し向かいで食べ、布団に二人で入り久しぶりに三冬を抱き込んで眠った
「「「「「「にぃちゃーーーん」」」」」」
懐かしい声のする方へ行くと
寿美、貞子、弘、こと、就也…そして玄弥が笑顔で手を振っていた
「お前ら…」
近づこうと駆け寄るも距離が縮まる事がなく…立ち止まる
あの日に見た綺麗な花が咲いてる場所で寿美、貞子、ことは小さな手のひらに乗せた花びらを上へと舞いあげ、それが風にのり俺のほうへと降ってきた
「よかったねおめでとう」
「かわいいね」
「あんまり怒らないで優しくしてね」
「みんなの分も沢山可愛がってあげてね」
「お兄ちゃんいっぱい笑顔でいてね」
「下の子達の面倒はもう少し俺が見るから…兄貴はゆっくりでいいからな」
玄弥が笑って手を振ってくる
あぁ…もう少し待っててくれ
「みんな…兄ちゃんもう少しこっちにいるわ…
玄弥…頼むな…ゆっくりしてから逝かせてもらうわ…」
「兄ちゃんお誕生日おめでとう!」
六人が笑顔で手を振ってくれた、俺も笑顔で手を振り返してると
「…実弥おめでとう」
ふわりと懐かしい手が頭をなでる
おふくろ…か…
振り向いてもそこには誰もいなくて
花の匂いだけが残っていた