第10章 happybirthday【不死川実弥】
三冬の目からもポロポロと涙がこぼれ、二人でただ微笑みながら泣いていた
俺にも幸せで泣ける日が来るとは思ってなかった…三冬と出会えた事を神様に感謝した
「いつ死んでもいいと思うくらい幸せだ…
でも…三冬と小太郎と暁の為に少しでも長く生きてやると心底思ってるよ…」
痣の事については決戦が終わってから話している
それを知っている三冬はまた泣いていた
「泣くなよ…なるべく長生きするからさ」
頬につたう三冬の涙を指で拭ったら泣きながら
「はい…」
と答えて三冬が笑う…
「俺の誕生日は俺たち家族の誕生日にもなったなぁ…」
「三冬…俺に幸せをくれてありがとう…」
こんなに素直な気持ちを伝えるのは久しぶりで言ったそばから恥ずかしくなる
でも今日は素直に気持ちを…大切な人達にちゃんと伝えたい気分だった
「聞けよ…俺の……後は頼むな…」
抱きしめ三冬に口付ける、舌で唇に合図をするとそれに答えるように唇が開く…三冬の息が上がるたびに離れては何度も何度も口付けを交わした
「だから今はダメなんだって!」
「そうだな…この匂い…ダメだな…」
「!!!!」
炭治郎と俺とで伊之助の口をふざぎ暴れるのを押さえつける
あんな不死川さんの声初めて聴いた…
鬼刹隊時代はいつも怒ってるかイライラした音しか俺達下っ端には向けられてなかった
でも最近の音は落ち着いていて穏やかな音がしてた
今日はそれに加えて深い愛の音がしてるし、三冬さんを凄く大事に思っているのがただ漏れしてるし…聞いてるこっちが恥ずかしくなる
しかも聞けよって!絶対俺に気付いてるだろ!
玄弥に「兄貴を悪く言うな!」と殴られた時は全く分からなかった
まぁ…今なら不死川さんの悪口言う奴がいたら
「お前はなにも分かってないな!」と俺も言えるくらいちょびっとだけ好きだけどな!
「お兄ちゃん…まだダメかな」
「……匂い…濃くなっているからなぁ」
久しぶりの長い口付けに、力の抜けた三冬の髪を撫でているとまだ出産の疲れが残っていて再び静かな寝息をたて眠ってしまった
冷えないように肩まで毛布と布団を掛けてやる
腕の中の小太郎も暁の隣へと寝かし縁側に続く廊下にでた