第10章 happybirthday【不死川実弥】
実家は思っていたよりも状態が悪いから建て替える事にする
だからその打ち合わせもするから、もうしばらくの間こっちにいる
もう少し悪いが待っててくれ
最後に不器用なお詫びが書かれてあった
読み終わった頃に宇随さんが私の頭撫でる
「地味に落ち込んでんな…寂しいのは今だけだ、引っ越しも終れば不死川と派手に二人でいれるし、ガキも産まれてくれば寂しがる暇なんかないぜ」
宇随さんの大きな手は何故か安心する
「寂しいのは今だけですもんね…」
言われてみれば、たしかにあと数ヶ月したら家族が増えて慌ただしくなる
でも…痣の発現した実弥さんは…そう思うと胸が痛んだ
それから一ヶ月後…
三冬が産婆の所から帰ってから縁側でお茶を飲んでいた
いつもなら必ず甘味を派手に頬張りながら幸せそうにしている三冬が横に置いてある甘味には手をつけていない
一緒に行った須磨に聞いたら
「よく育っているって言われてましたよ」
とニコニコと言っていた…不死川がなかなか帰ってこないのが地味にこたえてるのか?
「どうした?体調でも悪いのか」
手をつけてないカステラを一切れつまみ口に放り込む
三冬は少し恨めしそうに俺見た
「天元様……体調は凄くいいですよ、みなさんの作るご飯が美味しすぎて…同じ月の妊婦さんより私のお腹が大きくて産婆さんから育ち過ぎると産む時に大変だから食べ過ぎないようにって注意されたんです」
それでか…
「触っていいか?」
「どうぞ」
確かに一ヶ月の間に三冬の腹はよく膨らんでいる
両手で触れると三冬の腹の奥がポコンと動いた
「天元様分かりました?」
「はっ!派手にすげぇな」
ちょっと感動した俺は三冬の腹に耳を当てて腹の中の心音を聞いていた
「あっ!天元様…さね…みさんが…」
「おい宇随!預かってくれと言ったがな…三冬をてめぇにやるとは言ってねぇ!
それに三冬!天元様だぁ?お前は誰の嫁だ!」
おーおード派手に怒ってんな
「天元様って俺が呼ばせた、半分嫁みたいなもんだろ?」
「あ"あ"ぁ"!」
からかいがいのある男だな…久々に全集中の呼吸をしやがる