第10章 happybirthday【不死川実弥】
実弥さんは身重の私を心配して、宇随さん達が温泉旅行から帰ってくるのを待ってから曇取山へと行った
宇随さんの屋敷では奥さん達と賑やかに過ごし予定の一週間はあっという間に過ぎている
運動もかねた買い出しに雛鶴さんと商店街をまわり
美味しそうなおはぎを見つけて実弥さんを思い出す…
鎹鴉に毎日でも手紙を託したいけど、曇取山まで往復させるのは可哀想で、日記のような手紙を毎日書いては机にしまっていた
御八つにと、そのおはぎ…ではなく柏餅を買って屋敷に戻ると宇随さんが縁側で菖蒲の葉をくくり、その横でマキヲさんと須磨さんが笹の葉でちまきをつくっていた
「おぅ 派手な美人さんが二人帰ってきたな」
鬼殺隊の柱の時よりも柔らかな笑顔で迎えてくれる
命がけの戦いの日々の時より実弥さんもそうなのだけど顔が皆さん優しくなった
笑顔を見ると一番よくわかる
宇随さんは笑うと少年のような顔になる
その笑顔が好きなのだとお嫁さん達は言っていた
「三冬、不死川から手紙だ」
鴉の足に結ぶ為に細く折り畳んだ手紙の下の方に
「三冬へ」
と綺麗な文字で書いてあった
「ありがとうございます」
その場で手紙を広げると恋しい人の綺麗で優しい文字が並んでいる
私は小学校は出ているけどあまり漢字は得意ではない、だから実弥さんは簡単な漢字以外は仮名を使い読みやすく書いてくれる
そんな優しさに溢れた手紙が嬉しくてニコニコと読んでいると
「その顔を不死川に見せてやりてぇな…派手に可愛いぜ」
「天元様…三冬さんは淋しいんですよ…今日はおはぎをしばらく見つめてましたから」
「おはぎを…ですか??」
「おはぎは不死川さんの好物だよ!」
四人が色々と話しているのは申し訳ないけど聞き流し手紙の文字に集中する
私の実家と畑や曇取山の麓の町の様子、炭治郎くん達との賑やかな日常
竈門は炭焼きの仕事を楽しそうにしている、我妻は毎日うるさい、嘴平からは勝負を毎日挑まれて、そのおかげで体が軽くなった…
など文章から楽しそうにしているのが嬉しい
禰豆子はちょっと見ない間に女の子らしくなって驚いたと書いてあった
実弥さんだけズルイなぁ…禰豆子ちゃんに私も早く会いたい…
それから私の体調を心配している文章が続いた