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かわいいひと

第9章 恋に落ちる 2 【不死川玄弥】




目を覚ますと障子を開けて柱にもたれ掛かり庭を眺めながらお茶を飲む玄弥がいた

私が眠った間にお風呂に入ったみたいで髪の毛が濡れている

髪が顔に掛かり幼さが増していた、浴衣姿で暑いのか上半身ははだけていて開けた窓から夕陽が入り玄弥の体を照らしている

私が起きた事に気が付いてニコリと笑う


どうしよう…大好き…

艶のある姿にドキドキしてただ見つめていた


ぼんやりと眺める私に玄弥は微笑んだまま首をかしげる


「ご…ごめんね大分寝てた?」

最後に気をやったときに見た玄弥の顔とかぶり、慌てて顔をそらした



「お風呂を沸かして入った後にお茶が飲める時間くらいだよ」


結構寝てる…




「瑞穂も体…綺麗にしてきなよ」


体を起こした私に近づき軽く頬に唇がふれた
顔が一気に熱くなりのぼせてしまう


体を起こしたらまだ残っていた蜜がトロリと流れる感覚があり、全身をくまなく愛された行為を思い出す


「ひゃっ…お…お風呂に行く!」


慌てて浴衣とタオルを持ってお風呂場へ向かった

後ろで玄弥が笑いながら「いってらっしゃい」と言った言葉の響きがくすぐったかった


お風呂から上がるとご飯の炊けるいい匂いがする、台所へ行くと玄弥がたすき掛けで食事の用意をしていた


「わぁ…いい匂いがする」

玉子焼き、小松菜のおひたし、商店街で買ったコロッケが並べてあった


「もう出来るから瑞穂は机に並べて」

味噌を溶かしていた玄弥に言われ


出来ているおかずを並べる
それが終わると台所へ降りて、朝に塩と昆布で漬けていた野菜の浅漬をお皿に盛った

玄弥が横から覗きにきて「美味そうだな」と言ってくれる



流しの所に小さな鷺草の花束が湯呑みに差してあるのに気付く


「鷺草…?」


「瑞穂へのお土産…あと名嘉間屋のアラレもあるよ」




「えっ!名嘉間屋の?嬉しい!最近美味しいって評判なんだよ!」

私が飛び跳ねて喜ぶと
「蝶屋敷の子供達と同じ反応だ…買って良かった」と、笑われてしまった




2人で差し向かいで食べる夕食はとても美味しかった


食器は2人で片付けてお茶は私が入れた

名嘉間屋のアラレも皿に入れて持っていく

机の上には鷺草を差した湯呑みも置いた




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