第9章 恋に落ちる 2 【不死川玄弥】
転がってきた頭部から目を上げたら
残りの2人も板間に血まみれで倒れていた
次は私だと震えていると頭からふわりと布が掛けられた
「それで隠していろ…」
掛けられたのは私が剥ぎ取られた着物だった
飛ばされた時に肩の関節が外れ着物を着れないでいると
「着物を噛め」
そう言ってかなり痛みはあったが関節を戻してくれた
袖を通して焼けた肌に付かない様に緩く羽織って体を隠した
「2時間で夜明けだ、このままここで隠れていろ動いたら命はないと思え」
顔を近づけ「いいな?」と念を押され
頷いた私と目が合うと一瞬で消えた…
夜明けが来ても体の痛みと恐怖で小屋の角でうずくまっていると
見たこともない大きな男の人(悲鳴嶼さん)と綺麗な女の人(胡蝶カナエ)が私に気付いてくれた
「大丈夫か?」
悲鳴嶼さんが私に手を伸ばす…さっきまでの男達の行為を体が思いだしガタガタと震えてしまう
カナエさんは血の臭いに混ざった男達の精の臭いに気付いた
「悲鳴嶼さん…この子は私が…」
そう言って綺麗な羽織を私に描けて包みこんでくれた
男達の固い体とは違い、カナエさんの柔らかな体に安心してしまった私はそのまま気を失った
私は産屋敷家で目を覚ました
蝶屋敷だと隊士の出入りもあるからと あまね様が看護を申し出たと後から聞いた
2体の鬼がでて小さな村は壊滅的な被害を受け私の家族も殺されていた
家に帰って来ない私を誰も探しに来なかった理由がわかった
体の痛みと痣が薄くなった頃に
御館様から3人の死体について質問された
「体と顔に青い入れ墨のはいった男の人が助けてくれました…それと目に…上弦 参 と不思議な文字が刻まれていました」
「それは…興味深いね…」
御館様は微笑みを浮かべながらそう答えた
その時は言葉の意味が分からなったけど
私は…上弦の鬼に助けられたのだった