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かわいいひと

第9章 恋に落ちる 2 【不死川玄弥】




「俺…一緒にいたんだ」


瑞穂さんが鬼血術で操られていた人間の首を切った…

自害しようと暴れる瑞穂さんは悲鳴嶼さんから日輪刀を取り上げられ、次は舌を噛み切ろうとした…力加減を間違えた悲鳴嶼さんに殴られ「死なせてくれ」と泣き叫び嘔吐する瑞穂さんを俺は必死に押さえつけた
気絶した彼女に猿轡をして俺が抱えて御館様の所に連れ帰った



瑞穂さんが鬼殺隊としての自分を取り戻すまで、御館様とその家族が瑞穂さんの側にいてくれたお陰で今の瑞穂さんがいる…と、俺はそう思ってた




「あの日…暴れる私の胃液と血にまみれながらも必死で担いでくれた時の玄弥の優しい響きに私は救われたの…
だから実弥がなんて言おうと私は玄弥が好き」




間に合わなくて人間が犠牲になることは鬼殺隊の隊士なら何度も経験はしているだろう
でもその刀で人間の首を切ってしまった瑞穂さんの気持ちなど簡単には分かるはずもない


鬼を切れなくなった理由を兄貴は静かに聞いていた


舞い上がった葉がすべて落ちた頃に



「瑞穂…悪かったな」


そう言って俺の横を通り過ぎて立ち去っていった



















御館様と悲鳴嶼さんと俺しか知らない戦えなくなった秘密を兄貴に話した事で
瑞穂さんは少し疲れたみたいで屋敷に帰ると深いため息をついた



「お茶を入れようか…」

いつもより小さく丸くなっている背中をさすった

買ってきた食材を持って一緒に台所へと行き「俺がするよ」と言うも「勝手がわからないでしょ」と断られて
仕方なく上り口になんとなく座って瑞穂さんを見つめる



腰まである髪を頭の高い位置に緑色の紐で結び、風になびかせ戦っていた姿を思い出す
今の彼女は俺が切った短い髪が少し伸びて馴染んでいた
2ヶ月ぶりの姿は、鬼殺隊として命懸けで戦っていた時とは緊張感が違うのか顔が柔らかくなっている…気がする

キリッと張りつめた顔に姿に一目惚れしたけど、いまの瑞穂さんもこれはこれで好きだな…



ぼんやりと眺めていたら瑞穂さんが俺を見てる事に気付いた


「見とれてた?」

ちょっと照れたような笑顔が凄く優しくて俺も笑った


「うん…こんなに優しく笑う人が俺の恋人なんだなぁって…見とれてた」


音が聞こえるとしたら「ポン!」と音がしたと思う
一瞬で瑞穂さんは耳まで真っ赤になった

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