第6章 初めての人【宇随 天元】
タイにムエタイ修行に行く事を聞いた時は流石に慌てたが、海奈帆が夢を語る凛とした姿と、真剣な思いを聞くと送り出すしかなかった。それから2年後に
「驚いた?今日から学園の庭師(園芸部門)として働くの
3人を驚かそうと思って内緒にしてた」
再び目の前に現れた海奈帆は凄く綺麗になっていて、また俺は海奈帆に恋をした。
煉獄と不死川と冨岡は同期入社で、入社式の時に煉獄は俺に「鬼のいない世界にしてくれてありがとう」と言い
それを聞いた不死川は「こいつはその前に引退したんだ…なっ冨岡」と冨岡に顔を向けると
冨岡は「鬼?煉獄と不死川は知り合いか?」と言って冨岡は記憶が戻ってない事が分かった。それは今も続いている
海奈帆と俺の以前の関係は海奈帆が入社した時に2人には話していた。
昼休みに職員室で煉獄と不死川に海奈帆が思い出してくれた事を、冨岡には海奈帆と付き合う事を伝えていると、海奈帆が職員室に入ってきた。
金曜に海奈帆が不審者と格闘になり煉獄と宇随が駆けつけ、不審者は警察に行った事は今日の朝の職員の朝礼で報告はしてあった。
が、海奈帆は痣の事をすっかり忘れてマスクもしていないから、痛々しい痣に皆が驚いていた
「天元お腹すいた!早く食べよう」
竈門ベーカリーの袋を持って海奈帆が近づいてくる。
「今日は冨岡じゃなく宇随と食べるのか?」
「うん、懐かしいお粥を作ってくれたから」
嬉しそうに海奈帆はニコニコと煉獄に笑顔をむける
海奈帆の笑顔をじっと見ていた冨岡が宇随を見た
「立花に恋人が出来るまでは俺が守ると決めていた、これからは宇随に任せる」
冨岡は宇随の肩をポンと叩いた。それを見ていた海奈帆が冨岡に抱きつき
「14歳の時から今までありがとう。やっと初めて恋人ってのが出来たみたい」
そう言って恋人の目の前で冨岡と海奈帆は抱きつき合って体を揺らし喜んでいる
「だからお前ら!幼なじみとはいえもう25歳だろ?距離感がおかしいだろ」
それに…なんだよその笑顔は!
大人しく見ていた不死川がたまらずに、2人を引き剥がした
「宇随!お前もなんか言え!」
顔を向けた先には真っ赤な顔をしてる宇随がいた
「海奈帆…初めてなのか?」
「そうだよ。冨岡は偽者だから正確に言えば天元が初めての恋人だよ」